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人間は、広い世界のほんの一部で生きている。
全てを知ることはできない。
世界のどこかには、自分の知らない何かを熱狂的に愛してる人がいる。研究する人がいる。
そんな人が集まると、小さなブームになる。
誰かの世界を、少しだけ覗いてみちゃおう。
それが「うさこの覗いた世界」なのだ…!

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2000年前後、渋谷はギャルの聖地だった。
ギャル服を取り揃えた109へ全国各地かギャルが集い、センター街を闊歩。
ある人は髪を明るい色に染め、ある人は日焼けサロンで肌を焼き、
ある人は何センチもある厚底を履いて…
中には「ヤマンバ」と呼ばれる、肌が真っ黒で、鼻筋に白いラインを引き、
脱色しまくった髪にピンクや青のメッシュを入れる…というエキセントリックなギャルも誕生した。

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メディアでも大きく取り上げられ、「渋谷」と「ギャル」は一斉を風靡したのである。

その後、ギャル文化は陰りを見せる。
ギャルの聖地109からもギャルブランドが撤退。
渋谷でギャルを見かけることは一気に減った。
しかし、数は少なくなったといえど消えてはいない。
渋谷を歩いていれば、ギャルやヤマンバを見かけることも時折ある。魂を継ぐものは、まだ活動を続けているのだ。

今回うさこは渋谷にあるギャルが接客してくれるギャルカフェ「10sion」に訪れた。

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「いらっしゃい!!!ちょりおつーーーーーーー!!!!!」
一歩踏み入れれば元気すぎる声でお出迎えしてくれたのはふうちゃら。この店の店長だ。

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この日は他にもあかぽよ、シエナと2人のギャルがテンションあげまくりで歓迎してくれた。

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入った瞬間から、コテつけっぱなし騒動が起きるなど最初からギャルらしさ全開。
まずはわたしもギャルになろうということで、アイメイク体験をすることにした。

変身を手伝ってくれたのはシエナ。
所要時間は30分超…!

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太すぎるアイラインをひいて目を大きく見せ、攻撃的なつけまつげ。
涙袋をつくり、小顔に見えるようにほっぺにシャドウを入れる。
鼻には高く見えるようにシャドウとハイライトを入れて…うさこからしてみたら最早お絵かきです。

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睫毛の影がどうかしてる。
なんという劇的ビフォアアフター…!
このお店は敬語NG。わたしも、タメ口全開、メイク全開、もはや完璧なギャル!
無事にギャル化を果たしたところで、話を聞いてみた。

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「デキた!ドウ?スゴいデショー」
今メイクをしてくれたシエナはなんとカナダ人。正直見た目では全然わからない。
日本やアニメが好きで2000年代前後に流行った「GALS!」というギャルが主人公のアニメからギャルに憧れたという。
しかしカナダにはギャル服がなく、仕方なくヤンキーをしていたそうだ。
もっと女の子らしくなりたいと思い、17歳でギャルデビュー。
周りには同じ趣味のひとが全くいないカナダという環境で、一人寂しくギャルをしていたシエナ。
その頃のことを、「自己満足だった」と語る。
日本に旅行で来てもっと日本が好きになり、5年前ついに来日。
ギャルサー(ギャルの集まり)にスカウトされてギャル文化を学び、今に至る。
「私はギャル=民族みたいな感じだと思ってる。引退しようと思ったコトもあるケド、次の世代を見つけるまでやめらんないヨ。今の若い世代は、遊びたい気持ちがナイ。みんな一緒でいい、目立つのヤダって言う。ちょっと心配ダネ」
人一倍、ギャルへの愛が強い。

ギャルって何だと思う?と聞くと、店長のふうちゃらは
「自分でやりたいことをやってるからギャルっしょ!」と答えた。
「今21なんだけど、中学でギャルブームが来て、高校の頃にはもうギャル衰退してたんだよね。ブランドも撤退して…。もう、109とかも全然ギャル服なくなってさ。もっとギャル頑張れよ!!って思ってる。ギャルはね、いろんなタイプのギャルがいるけど。それも、自分がいいなと思うものを選んでやってるからなんだよね。時代によって、髪が黒いギャルが流行ることもあるし、ナチュラルメイクが流行ることもあるよ。黒髪だからギャルじゃねーってことはない。ギャルは、ずっとあり続けるもの。見た目じゃなくてポリシーなんだよ」
なるほど…。
確かに、一般の人からしてみればギャルっていうのはこうだ!!っていう勝手なイメージがある。
その中にはネガティブな固定概念もあるかもしれない。
「あのさー、これだけは言いたい。ギャル=バカっていう認識は間違ってる!中には頭いいコもいるし。汚いとかうるせーとかも言われるけど、人それぞれだから!」
非ギャルのなかにもいろいろあるように、ギャルにもいろいろある。
そんな当たり前のことを忘れていたかもしれない。

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「わからない!わからない!わからないなら帰ってウィキペディア!!」
突然コールをぶちかまし、観光に渋谷へ来たという男の子たちを勢いで負かすギャルたち。

客層は8割くらいが男性だが、女の子も来るし、中には家族連れなんかもいるんだそう。
やはり、「渋谷=ギャル」というイメージは根強い。
何で敬語NGにしたの?という質問には、
「個性を出すのに敬語が邪魔だったから!お互い、一歩踏みやすいっしょ。お客さんよりお友達だと思ってっから」
との答えをもらった。
実際、どんどん言葉が出てくるのは敬語NGが手伝ってくれたのかもしれない。
他のお客さんと仲良くなるのも時間がかからない。
まるで旧知の友のようだ。それが出来るのは、ギャルの強みだろう。

あっという間に時間が過ぎて、帰る時間になる。
「せんきゅーべいべー!ありがとマンゴー!!!」
と見送られ、わたし(ギャル)は帰路についた。

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アイメイクをすると武装した気持ちになれるのか、渋谷を歩きながら何だか誰にも負けない気がした。

しかし帰ってから、クレンジングで黒々と拭き取られたアイラインのあまりの濃さを前に
「彼女たちは生半可な気持ちでギャルをやっているわけじゃない…」
と、深く思い知らされたのであった。

スタッフ全員が渋谷ギャルのギャルカフェ「10sion」
詳しくはコチラ! http://galtpop.jp/10sion/index.html

米原千賀子

ライター兼イラストレーター。へっぽこな見た目とは裏腹にシビれる鋭いツッコミで世の中を分析する。人呼んでうさこ。常に今日の夜ごはんのことを考えている食いしん坊健康オタクな一面も。webマガジンNeoLなどで連載中。