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人間は、広い世界のほんの一部で生きている。
全てを知ることはできない。
世界のどこかには、自分の知らない何かを熱狂的に愛してる人がいる。研究する人がいる。
そんな人が集まると、小さなブームになる。
誰かの世界を、少しだけ覗いてみちゃおう。
それが「うさこの覗いた世界」なのだ…!

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わたしがこれまで持っていたイメージをあげるとするなら、
①海が嫌いなわたしは本物のヤツに出会ったことはない。昔、友人が夏休み明け「刺された」と嘆いていたのを思い出す。
②小学生の頃、学芸会「スイミー」の中でヤツの役を演じた。スズランテープでヒラヒラの衣装を作ったことを覚えている。
③中華料理で出てくるヤツは最強にうまい。
そんな程度で、これまでわたしはヤツのことを殆ど何も知らなかったといっても過言ではない。

―――そう、ヤツの名はクラゲ…。
腔腸(こうちょう)動物の基本形のうち、浮遊生活を送るもの(デジタル大辞泉より)。
ざっくり世界の生き物を2種類に分けるとしたら、「よく分からん生き物」類の内のひとつだ(うさこ調べ)。

そんなクラゲが近頃女子に人気があるらしい。
何からでも「カワイイ」を見出せる現代ニッポン女子、ついに腔腸動物まで範囲を広げたか…!
なにやらふわふわと漂う姿が癒されるんだとか。
クラゲの実態を探るべく、京都水族館で3月12日まで行われている「ふわふわクラゲガール」という体験プログラムへ向かった。
土曜日限定で行われている18歳以上のオトナ女子向けイベント(男性は女子と一緒の場合のみ参加可)で、毎回応募希望者が殺到しているそうだ。

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京都水族館へ到着したわたしが案内されたのは「大水槽」前のエリア。

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触り心地がいいもこもこカーペットの上へ、靴を脱いで上がる。

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目の前で繰り広げられる魚たちの物語。
悠々と泳ぐ小さな魚の群れをエイが割って入るたびに、どこからともなく「わぁ…!」という声が上がる。
見上げていると自分まで海中で漂っているみたいなぼんやりした気持ちと
こんなにまったりできるのは傍観者である人間の贅沢だなという哲学的な思いが心の中に浮かんだ。
きっと小さな魚たちはエイに戦々恐々。彼らは必死に生きているのである。

17時になると飼育スタッフのお姉さんがやってきて参加者たちを囲むように集合させた。

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「大水槽」を背景にしてしまう、なんともゴージャスな時間の始まりだ。
1組にひとつずつ、クラゲの入った瓶とライトが配られた。

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この子は“ミズクラゲ”。
最も一般的なクラゲで、あまり毒を持っていないらしい。
光を当てると、白くぼぉっと浮き上がった。ゆったり小さな瓶の中を浮遊する姿を追う。

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いかにもぷにぷにしていそうな体を伸び縮みさせて泳ぐ。
触手をヒラヒラさせながら漂う姿には、スタイリッシュささえ覚えた。
あれ?とっくにクラゲのとりこじゃないか。
いつの間にか「こんなにかわいい海の生き物他にいる?」レベルまで愛着が増している。

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これはやばいぞ。いくらでも見ていられる。

そんなときお姉さんが参加者へ、ビーカーを配布した。

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ただの水に見えるが、クラゲのエサだと言う。
目を凝らしてみると

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めっちゃいた。
クラゲが餌にしているプランクトンで、アルテミアというそうだ。
体を微動させながら前に進む姿が、なんだかおもしろい。
隣の女子は「かわいい~!」と声を上げていた。女子のかわいいマジ無尽蔵。

でもクラゲがどうやってこいつを食べるんだろう…?
湧き出る疑問を解消すべく、わたしはゆっくり微生物入り水を瓶へ注ぐ。

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これ、クラゲの体にアルテミアが付着したって感じだな…と思っているうちに、クラゲの傘の線が徐々に赤くなっていった。
これ、アルテミアだ。管にアルテミアが詰まっていってるんだ…!

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お食事風景も、驚きの連続。クラゲのことが少しずつわかっていく。
隣の人のクラゲを見せてもらったら、サイズが全然違った。
隣の人の方が丸っこくてちいさくてかわいい。わたしのクラゲは、傘がだる~んと大きかった。
そういう違いに気付けるのもじっくり観察できるからこそ。人間と同じように、クラゲだって個体差があるのだ。

クラゲは擬音が似合う。
ぷかぷか、ふわふわ、ひらひら、ぷにぷに。
もしかしたらそんなところが“カワイイ”の理由なのかもしれない…とうさこはまったり眺めながら思った。
クラゲを見るだけの時間。無心。時間の概念を忘れて、ただ、漂う姿を見ている。
確かに…癒されてる。癒されてるわこれ。
中には寝そべる人もいるくらい圧倒的穏やかさでお送りする、“ふわふわクラゲガール”だ。

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イベントが終わっても、実はまだクラゲで楽しめる。京都水族館には「クラゲゾーン」があるのだ。

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アロマのめちゃくちゃいい匂いが香るこの一角では、
実施中の「冬を楽しむインタラクティブアート『雪とくらげ』」によってクラゲたちと映像の4次元クラゲワールド(?)が楽しめる。
縦横無尽に浮遊するクラゲたち。人々を照らす京都の冬をイメージした映像。人に反応して雪や床に広がる波紋。
お客さんまでもが、展示の一部になる。

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今度は「共存するクラゲたち」を垣間見れた。
こんなに広い水槽なのに、何故か一ヵ所に集まりがちなのは一体なぜだろう?
視点を変えて見てみれば、またぼんやり顔で延々見ていられる…。

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触手の長い子たち(アカクラゲ)はとても幻影的できれいなのに触手がちぎれたり絡んだりしていて、イケメンなのに寝癖ついてる的なギャップまで丸ごと楽しめちゃう。

なんていうクラゲ尽くしの時間なんだ…!
クラゲのことなんて考えたこともなかったわたしでさえ「飼えるんじゃないか」といううっかりがよぎるほどクラゲとの距離が縮まる時間。
疲れてる女子はふわふわクラゲガールになることをオススメします!!

 

京都水族館
「ふわふわクラゲガール」
2016年3月12日(土)まで毎週土曜日実施
「冬を楽しむインタラクティブアート『雪とくらげ』」
2016年3月13日(日)まで終日投影
「ふわふわクラゲガール」の参加応募・詳細は京都水族館公式ホームページまで!
http://www.kyoto-aquarium.com/

米原千賀子

ライター兼イラストレーター。へっぽこな見た目とは裏腹にシビれる鋭いツッコミで世の中を分析する。人呼んでうさこ。常に今日の夜ごはんのことを考えている食いしん坊健康オタクな一面も。webマガジンNeoLなどで連載中。

公式サイト http://yonusa.wix.com/4bunno1
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