大盛り上がりのうちに終わった中華圏の旧正月「春節」。
各地の中華街でもイベントに大忙しだったようだが、
本場では一体どれほど盛り上がるのか…?
街中が真っ赤に染まった春節の香港に潜入した。

 

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人間は、広い世界のほんの一部で生きている。
全てを知ることはできない。
世界のどこかには、自分の知らない何かを熱狂的に愛してる人がいる。研究する人がいる。
そんな人が集まると、小さなブームになる。
誰かの世界を、少しだけ覗いてみちゃおう。
それが「うさこの覗いた世界」なのだ…!

 

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日本人にとって、お正月といえば年が明けてすぐの「1月1日」。
この1月1日という概念は、「グレゴリオ暦」という数え方におけるもの。
この暦が使われ始めたのは、長い歴史で見たら超最近の150年弱前、明治6年(1873年)だ。
しかし日本では伝統的に馴染みがあったのは今では「旧暦」と呼ばれる「太陰太陽暦」。
6世紀に中国から暦が伝来して以降、1300年弱のあいだもこちらが使われてきた。
太陽が1周する365日だけでなく、月が地球を1周する354日まで考慮したこの暦、
自然界のリズムにぴったり寄り添うようにできている。
毎年大幅にズレる花の開花も虫の訪れも、旧暦だったら一致するそうだ。

 

そんな旧暦だから、アジア諸外国では今も愛用される。
特に旧暦で正月を数える「旧正月」を新年よりも盛大に祝う国は多く、
中でも中華圏での盛り上がりは桁違い。
移動人数は30億人、経済効果は15兆とも言われる。

 

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(2013年上海にて)

 

年越しそばならぬ年越し餃子を親戚一同で食べ、
花火をバンバン打ちあげ、爆竹がドンドン鳴り響かす戦場のような年越し。
その後も怒涛のお祝いが街を襲う!!
今回は春節で盛り上がるおめでたい香港へ行ってきた。

 

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おめでたいポイント1 赤く染まる街

中華圏のハッピーカラーと言えば「赤」、この色に限る。
街には繁栄と幸運の願いを込めた赤いぼんぼり、

 

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今年の干支である酉も真っ赤に染まる。

 

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染まる。

 

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染まる…!

 

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この下に置いてあるダイナマイトのようなものは、
爆竹飾り。音で魔物を追い払う、ありがたいお飾りなのだ。だいぶ物理攻撃。
桃の花にも「紅包」と呼ばれる赤いお年玉をぶっ刺すし、

 

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マネキンだって紅包で取り囲む。

 

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おめでたすぎるわ。

 

おめでたいポイント2 街で踊り狂う獅子

春節中街を歩いていると、太鼓やシンバルのような音がジャンジャン聞こえてくることがある。
近寄ってみるとそこには音楽隊と激しく踊る獅子舞が…!

 

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ショッピングモールの店舗に対して、一軒一軒儀式をして回っているのだ。

 

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入口に吊る下げたお野菜と紅包を獅子が食いちぎり、地面でもしゃもしゃ食べたのちに
店に対して吐き出す…という、独特な儀式で1年の商売繁盛を願う。

 

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獅子が去ったあとは決まってお野菜が散らばる不思議な光景が広がった。
獅子舞テロは各地で同時多発的に起きており、規模も異なる。

 

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路上で行われたパフォーマンスでは、狭い土台の上を飛び跳ねたりポールを駆け上ったり
とんでもないアクロバットを見ることが出来た。

 

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スモークまで焚かれる大掛かりさ…!
最後には小さな酉のぬいぐるみを投げて去って行った。

 

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おめでたい。

 

おめでたいポイント3 春節グッズが買える

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見るからにド派手な真っ赤なショップ。
とにかくおめでたいグッズが豊富だ。

 

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先ほどから何度も登場した「紅包」も、酉のぬいぐるみも、
中華料理屋でよく見るような「福」と書かれたタペストリーも、
金運があがりそうな笑顔のおっちゃんシールも、めでたいものならここで。
お土産にもおめでたくていいハッピーが届く気がする。

 

おめでたいポイント4 紅包を渡そう

街中で飾られたり儀式に使われりと大忙しの「紅包」だが、
一番大事なのは人同士の渡し合い。

 

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どんだけいろんなフォントで福って書くねん。
「既婚者から未婚者へ」という基本ルールに「お世話になった人へ」という考え方も加わり、
マンションの守衛さんや行きつけの店、ご近所さんと、とにかく渡しまくっている姿が街中でも散見出来た。
日頃の感謝を紅包で表すという文化は、
ケチにはなんとも生きていきづらい世界…!
日本に生まれてよかったと噛み締めるばかりだ。

 

街のあらゆるところがお祝いで染まる、そんなおめでたムードの中にいると
なんだかこっちまでうれしい気持ちが伝播する。
「お正月」「お年玉」「獅子舞」と日本ともなんとなく近いようで、
全く違う香港の「旧正月」。
だからこそ楽しい、異文化がそこにあった。

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