今、掛軸を飾っている家はどれくらいあるだろう?
かつては人々のコレクター心に火をつけた掛軸、日本における起源は1000年ほど前にまで遡る。
中国から仏教を伝来するためにやってきたものが芸術に特化していき、「保存」「鑑賞」を兼ねる最強の装飾道具となっていった。
しかし今や、和室の減少などから掛軸を飾る家が減っているのだと言う。
日本の伝統的な文化を絶やさぬために、立ち上がった企業があった。

 

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人間は、広い世界のほんの一部で生きている。
全てを知ることはできない。
世界のどこかには、自分の知らない何かを熱狂的に愛してる人がいる。研究する人がいる。
そんな人が集まると、小さなブームになる。
誰かの世界を、少しだけ覗いてみちゃおう。
それが「うさこの覗いた世界」なのだ……!

 

わたしが今回降り立ったのは岐阜県。
綺麗な水に恵まれ、製紙技術が発達したこの地では掛軸の生産が盛んで、全国の6~7割を担っているらしい。
「偕拓堂アート」は約40年ここで掛軸を作り続けている。

 

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掛軸がどんなものか知るために、まず工場見学へ。
わたしは掛軸に造詣がなさすぎて、1枚の布と紙(作品)のシンプルな構成だと思っていたが、実際は全く違う。

 

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様々なサイズの布をパズルのように組み合わせて作ることで、丸めて保存しても作品にシワが寄らないようにできている。

 

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これは芸術作品を損ねることがないように日本で育まれた工夫のひとつだ。

 

「掛軸」と一口で言っても、家庭用手のひらサイズの美術品から寺院に展示される表装、書の展示などその大きさや目的は様々。

 

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中には作品を格調高く見せるために本金を練りこんだ布もある。
良い作品を、より素晴らしくするための手段で、様々な要素から成る掛軸の世界はピンからキリまで多種多様だ。

 

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機械の導入や技術の向上により生産が増え、年間で5万枚もの掛軸がこの工場で作られている。
布は時間の経過で朽ちてくるが、その時は「貼り直し」が出来るのも掛軸の魅力。
作品を布からゆっくり剥がし、修復、新しい布へと付け替える。
工場の2階ではこの繊細な作業が行われていた。

 

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国家検定一級表装技能士も在籍しているらしい。そんな国家資格があったとは驚きである。

 

「kakejiku art(掛軸アート)」は掛軸界でも異彩を放つ、新しい試みだ。

 

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現代の芸術家の作品を掛軸で飾る手法。
作品は、時に鮮やかで、時にクール。海外のアーティストも多く、これまでの掛軸のイメージとは全然違う。
でも、掛軸という装飾方法だからこそ、深まる世界観があるのだ。

 

「和室がなくなってきたから掛軸が減った」とは言うが、細長い上につけ外ししやすく保存にも長けた掛軸は実は現代の家に向いているとわたしは思う。
近頃はアニメグッズとして掛軸が販売されることもあるようだ。
ポスターに比べたらお値段は上がるが、長い期間添い遂げられることを考えれば高くはないのかもしれない。

 

様々な広がりを見せる掛軸。

 

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「昔は和室を広く見せる作りだったけど、白い壁に合うものがあってもいい、掛軸の雰囲気が変わってもいいと思う。わびさびの世界だからピンクなんか目にしたらアカン!って言われてたけど、絵に合わせてピンクも取り入れるようになった。伝統的な織物じゃない染めもある。もっと珍しいものないのかと言われるくらい、斬新なものも取り入れていきたい」と工場長は語る。

 

伝統を続けるだけが文化を守ることじゃない。
今に合わせて進化し続ける、掛軸の快進撃が始まる。

 

 

「偕拓堂アート」
http://kaitakudo.co.jp/
住所:岐阜県本巣郡北方町平成7-33
電話:058-323-1810

 

「kakejiku art」
http://kakejikuart.jp/