最近ではSNSで注目されやすいことなどから見栄えのいい料理が人気だ。

しかし、美しいからといって味がいいとは限らない。

むしろ真の「おいしい」は、見た目にはこだわらない、ちいさな店にこそあるのでは?

わたしは台湾に繰り出して、「非SNS映えのウマい飯」を食い漁った。

 

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人間は、広い世界のほんの一部で生きている。
全てを知ることはできない。
世界のどこかには、自分の知らない何かを熱狂的に愛してる人がいる。研究する人がいる。
そんな人が集まると、小さなブームになる。
誰かの世界を、少しだけ覗いてみちゃおう。
それが「うさこの覗いた世界」なのだ……!

 

日本人にも人気の国「台湾」。2016年の訪台者数は200万人弱に及ぶ。

しかし実はこの世で最も恐ろしい国のひとつで、昼夜問わずどこかしらに屋台が繰り出し、安くておいしい小吃(シャオチー/軽食の意味)を気軽に買えるという罠がそこらかしこに仕組まれている。

そう。デブ製造国だ。

わたしは台湾に移住して太ったという人間を何人か知っているし、わたしも行くたびパツパツになって帰る。

 

1品およそ30元(約120円)からという安さで出来立てホヤホヤの料理が食べられるというのは、何とも幸福なことだ。

 

人気のお店というのは大概活気があって、ご飯時には長蛇の列をなしている。

食べるのが大好きな台湾人は、おいしいお店に目がない。

 

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これは士林駅前の蔥抓餅(ツォンジュアビン)。

駅前を通過するだけの予定が、昼食目当ての行列に釣られてフラフラと並んでしまう。

現地の人が愛する店がおいしくないわけがない。

 

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小さく刻んだ葱を練り込んだ生地は、外はカリカリ、中はもちもち。

贅沢に卵やハム、チーズなどを挟んでもらうこともできるが、わたしは余計なものを加えずシンプルに食らいたい派。

 

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葱抓餅はクロワッサンのように生地が幾層にも重なっており、食感は軽やか。

日本の葱焼きよりもダイレクトな小麦粉感が旨い。

台湾に来たら絶対に食べたい、オススメフードである。

 

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油飯の店も人気だ。

油飯とはおこわのこと。

素っ気なくビニール袋に突っ込まれた茶色いおこわと煮豆腐、煮卵は非SNS映えの頂点に立つと言っても過言ではない。

 

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しかしモチモチと食べごたえのあるおこわに、じゅわっと味が染み込んだお豆腐や玉子は世界をバラ色にしてくれる。

油飯15元。玉子と豆腐トッピングでプラス20元。しめて35元(約140円)。

これだけではお腹いっぱいにならなければ、また違う何かを買えばいい。

いろんなものを買って少しずつ味わえる贅沢って、本当に幸せ。

 

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西門町にある滷味(ルーウェイ)も負けてない。

食材を選ぶと、店員さんが鶏のダシやスパイスで作った秘伝のタレを和えてくれる。

わたしはヘルシーにエリンギとこんにゃくをチョイスした。

 

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見事に茶色い!衝撃的なまでの華のなさ。

しかしこの味わい深いスパイシーなお味が、最高のおつまみになる。

 

夜は夜市へ飛び出そう。

「寧夏(ニンシャー)夜市」は、美食が集うとして地元民にも愛される夜市。

 

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100軒近い屋台が並び、ごはんからスイーツまでよりどりみどりだ。

タピオカミルクティはもちろん、海鮮にお肉の串焼き、フルーツジュース、牡蠣のオムレツ、これだけいろんなお店が揃えば、どんな需要だって叶えてしまうに違いない。

 

わたしは悩んだ挙句「方家」という屋台をチョイス。

 

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この店一押しの「鶏肉飯」、青菜炒め、卵焼きと家庭的なメニューで攻める。

 

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鶏肉飯のほぐされた鶏肉のやわらかさ。上にかかった甘じょっぱい玉ねぎ特製ダレの奥深さ。

鶏を口に入れると、旨味がじゅわっと暴れだした。油っぽくないので食べやすい。

タレがたっぷり染み込んだご飯は、人を夢中にさせた。

台湾における青菜炒めは、その時仕入れた青菜が出てくるのでその時になってみないと一体何の青菜が出てくるかわからない「シェフの気まぐれサラダ」感ある代物だ。

この日は空心菜だった。たっぷりのにんにくが香ばしくて、ごはんがもっとおいしくなる。

 

夜市にはたくさんおいしいものがあるけれど、知り合いの地元民が最もオススメするのは、少し外れたところにある愛玉子(オウギョーチ/台湾式レモンゼリー)屋だった。

 

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「こんなところ人来るの?」と思うようなところに、ひっそりと構える店舗。

おっちゃんが切り盛りするその店構えからは、とてもスイーツが出てくるとは思えない。

 

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しかし、器に乱雑に乗せられた愛玉子は想像しないほど繊細な味だった。

レモンの心地よい酸味。オレンジのような爽やかさもある。

甘さは抑えられていてスッキリ。

どんなに食べてもそれを洗い流してくれるような清涼感。まるで全てが浄化されていくようだね?

 

見た目と味は必ずしも比例しない。

非SNS映えの中に幸せでいっぱいにしてくれるようなおいしいものが隠されていることだって多いのだ。

それはイケメンが必ずしもいい人とは限らないのと同じように。

 

見た目ばかりに惑わされず、本当によいものとは何かを見極める。

それが何においても大事なことなのかもしれない。

 

 

『西門町』

台北捷運MRT「西門」よりすぐ。

 

『寧夏夜市』

台北捷運MRT「雙連」「中山」「北門」それぞれの駅から徒歩10分程度。

台北車站駅からタクシーで約100元(400円)。

※1元(台湾ドル)=4円で計算。

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