image

12月某日 北イタリア・パドヴァ

美食大国日本については、今までにも随分いろんなところで書いたり話したりしてきたことではありますが、それでも日本に来るたびに、イタリアへ再び戻る日を懸念せずにはいられなくなるほど、この国の、美味しさの平均値の高さには驚かされます。どこの国の何料理を食べようと、海外で経験するようなマズさのショックに見舞われる機会というのは、そう頻繁にはありません。スーパーのお惣菜であろうと、コンビニのおにぎりであろうと、冷凍食品をチンしようと、「うわっ、なんだこれ!!」と口の中に入れたものをそのまま吐き出したくなる、という衝動に駆られることは、この国ではほぼ皆無です。

私が暮らしているイタリアも名実共に美食大国ではありますが、大観光地にある、いかにも観光客用といった風情のレストランで食事をとろうとすると、「マズっ!!」という衝撃の経験を何度かすることもあります。旅行へ行く際に、イタリアでは間違いなく美味しいイタリア料理を食べられると信じ込みたくなる傾向は誰にでもあるので、その思いがけない期待への裏切りに驚く人も少なくありません。

日本は逆です。かつて、イタリアから日本へ引き連れて来た11名のイタリア人オバちゃんたちが、旅の最後の3日間、スシもテンプラもスキヤキにも興味を示さず、とにかくずっとイタリア料理を食べ続け、飛行機に乗る間際に残した彼女たちの日本旅行の印象が「日本のイタリア料理はウマい!」だった、ということからも判るように、日本では各国の料理を、実は現地よりも美味しく頂く事ができる、というのも凄いことだと思います。

それは料理に限ったことではなく、お菓子というジャンルでも同じ事が言えるでしょう。筋金入りの甘党で傍に甘いものがないとヒステリーなどの禁断症状を起こしかねない私の解釈からしても、日本のお菓子文化のレベルは相当に高度なものです。

私は日本に渡航する数日前に必ず、ネットで日本全国の美味しいお菓子をいくつか調達し、誰もいない寂しい東京の滞在先に着いたときに、それらのお菓子が私を歓迎してくれるように手筈を整えています。日本各地の名菓、または沢山の人に評判だとうたわれるお菓子であれば、すべて食べてみたいので、締切間際の原稿も放ったらかしの勢いでサーチをするのですが、どこの地域の何を食べても満足を保証してもらえる日本のお菓子文化は本当に感動的です。

それがたとえ西洋が発祥のお菓子であったとしても、正直そのオリジナルよりも、日本で日本の菓子職人が生み出したもののほうが数倍美味しいと思えてしまう場合が多々あるからです。