天孫降臨の地・高千穂峰の頂で「天の逆鉾」に対面!
宮崎の山歩き第2弾は、坂本龍馬が“新婚旅行”でおりょうと登った高千穂峰(1574m)を目指す。20余りの火山の総称である「霧島山」の主峰で、神話の国・宮崎を象徴する天孫降臨の地である。「稲穂が豊かに実る国が、この雲の下にある。その国は葦原の中つ国と言って、天つ神のあなたがそこへ降りて治めなさい」――。このアマテラスオオミカミの命を受けた孫のニニギノミコトが降り立ったところが、高千穂のくしふる峰だと伝えられている。そう、今回は神に近付く山歩きなのである。
登山口は県境を越えた鹿児島県・霧島市にある高千穂河原ビジターセンター。朝10時、快晴の中をスタートする。霧島神宮古宮址の鳥居をくぐり、参道経由で登山道に入る。樹林の中を歩くが、道に点在する火山礫に霜柱が張り付いている。トレイルランの若者が駆け下りてきた。
「上は雪とかありませんか」と尋ねると「全然ないですよ。いい天気で今日は最高ですよ」と笑顔で答えてくれた。
樹林を抜けると砂地の斜面があらわれる。ここが歩きにくい。ビーチの斜面を登っていく感じだ。足がズルッと滑る。砂場歩きは20分ほどで終了。今度は溶岩がゴツゴツした急斜面がお鉢まで続く。足場のしっかりしたポイントを選びながら、ゆっくりと進む。振り返ると、単独行の山ガールがさっきの砂場をザッ、ザッとすごい勢いで登ってくるのが見える。九州の女性は頼もしいなあ。
スタートから50分。ようやく茶褐色の斜面を登り切り、お鉢にたどり着いた。一休みしよう。この地点で眺望は抜群だ。眼下に錦江湾をはさんで桜島が浮かぶ。西には5年前、300年ぶりに噴火した新燃岳、その向こうに韓国岳がどんとそびえる。お鉢の火口内に水はないが、先日降った雪がわずかに残っている。ここからは馬の背と呼ばれる火口縁を進む。強風や霧が出た時は気をつけたい道だ。20分ほどで鞍部に。さあ、あとは山頂までの急登をこなすだけだ。
山頂には数十人の登山者たち 火熾しの儀式を地元TVがロケ
息を切らしながら最後の登りをクリアすると、真っ青な空と天の逆鉾が出迎えてくれた。
麓から1時間30分ほどの登りだった。山頂ではグループ、子供連れ、カップルなど数十人のハイカーが思い思いに天空のひとときを楽しんでいる。ニニギノミコトが降臨した際に突き立てたといわれる天の逆鉾を間近に見る。青銅色の剣が群青の空に向かってそびえ立つ。神々しい光景に畏敬の念を覚える。裏手に回ると人だかりが。なんだろう。隙間からのぞきこむと、どうやら木をすりあわせて火を熾しているようだ。
「なんですか」と見物中の人に聞くと「麓の神社の儀式で古来の方法で火熾しをしているところなんですが、なかなかつかなくて」と苦笑い。そのうち皇子原コースから地元タレントとTVクルーがやってきて、火熾し儀式の撮影が始まった。みんな「もう少し、もう少し」と声援を送り、賑やかだ。
南面に向いた小屋の前で、暖かな陽光を浴びながら大休憩。おにぎりをほお張りながら、かすみ始めた桜島を眺め、龍馬とおりょうが浜之市の港から山頂まで、はるばる歩いた様子を想像する。150年あまり前の世界である。ポカポカ陽気のなか、神の雰囲気と龍馬の世界に浸った山頂タイム。生涯忘れないだろう思い出となった。
行程:高千穂河原ビジターセンター~お鉢~山頂(往復)
所要時間:登り 約1時間30分/下り 約1時間
【パワースポット】東霧島神社(つまきりしまじんじゃ)鬼が一夜でつくりあげた石段を振り向かずに上り切れば願いが叶う!
高千穂峰からの帰途、霧島六社権現の一つ、「東(つま)霧島神社」(宮崎県都城市)を訪れた。鬱蒼とした樹木に覆われた境内に一歩足を踏み入れた途端、スピリチュアルな雰囲気が漂う。祀られている主祭神はイザナギノミコト。鬼が一晩で造ったとされ、振り向かずに上り切ると願いが叶うという「鬼岩階段」。悲しみの涙を流したイザナギが誰もが災難に遭わないようにと願い、十握の剣で切ったとされる「神石」。樹齢千年の「幸招大楠」など、神秘的なパワースポットがいっぱいだ。
宮崎県都城市高崎町東霧島 0986-62-1713
【人気の木造駅舎】真幸駅(まさきえき)宮崎最古の木造駅舎と幸せの鐘が魅力
えびの市にあるJR九州肥薩線(えびの高原鉄道)の真幸駅は、今から105年前の1911年に開設された駅。当時の木造駅舎がそのまま残り、鉄道ファンや多くの観光客が訪れるスポット。ホームには「幸せの鐘」が設置され、ちょっと幸せになりたい人は1回、もっと幸せを願う人は2回、いっぱい幸せになりたければ人3回鳴らすといいという。
ANA 山ガールの宮崎自慢
宮崎交通株式会社 航空部旅客・運航課
久寿米木(くすめぎ)郁さん(右)
赤木 友紀さん(左)
地鶏っこ、宮崎牛、マンゴー、チーズ饅頭…美味グルメを堪能して下さい!
宮崎のキャッチフレーズは「日本のひなた」。温暖な気候・風土に恵まれた土地、豊かな海は、まさに食材の宝庫といっていい。お薦めグルメは?
「まずは鶏肉ですね。みやざき地頭鶏(じどっこ)というブランド鶏は、済んだ空気と雄大な大地の中ですくすく育っているので、肉質の弾力とジュワーっとくるうまみと歯ごたえが最高です。炭火焼やたたきでいただきます。皮を湯引きしてポン酢でいただくのもおいしいですよ。
牛肉はなんといっても宮崎牛。日本でも有数のおいしさです。にんにくと唐辛子をたっぷり使った辛麺は特に女性に人気です。豚ミンチ、ニラの入った麺と溶き卵がよく合います。うなぎもおいしいですよ。西都市にある入船はプロ野球選手も訪れる創業百数十年の人気店で、こんがりと焼き上がったうなぎは絶品です」
この他にも揚げた鶏のモモ肉を甘酢に漬け、タルタルソースでいただくチキン南蛮、すし飯にレタスとエビ、そしてマヨネーズソースを合わせたレタス巻きも宮崎ならではの味。レタス巻きは市内のすし店一平の初代店主と作曲家・平尾昌晃氏との会話から生まれたものだという。
フルーツも豊富。おなじみの完熟マンゴーをはじめ日向夏、キンカン、パッションフルーツなど南国イメージの特産品が勢ぞろい。次はスイーツのお薦めを。
「宮崎のスイーツといえばチーズ饅頭が定番です。1980年代に作られ始めたもので、クッキー生地の中にチーズが入ったものが主流です。チーズといえばパティスリーHIROYAのチーズタルトはぜひ味わっていただきたい逸品です。外がサクサクで中のチーズがしっとり。甘すぎず絶妙のテイストです。アンオーのガトーショコラもお薦めです」
空港内の土産物店にもおいしいスイーツがいっぱい。どれもこれもおいしそうで目移りしてしまう。宮崎山歩き第3弾は、霧島連山の最高峰・韓国岳です。温泉情報もふんだんにお届けします。