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一年で最も寒い今の寒の時期は、お味噌を仕込むタイミング。今年もせっせと作りました!ちなみに昨年仕込んだお味噌やお醤油はこんな感じです。順調に発酵してくれて、いい香りを放っています♪

 

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第50灯で、わが家の手前味噌レシピをご紹介していますので、みなさんもぜひ作ってみてくださいね!

 

この時期は、昔から日本ではお酒を仕込む時期でもあります。わたしは酔いやすく、飲むと異常なほど真っ赤になってしまう人間で、お酒に対していいイメージがありませんでした。そんな下戸のわたしが、「このお酒は美味しい!まったく酔わない!むしろカラダもココロも好い反応をする!」と驚き、2年ほどずっと飲み続けているのが、千葉県香取郡にある340年の歴史をもつ蔵元「寺田本家」の発芽玄米酒「むすひ」。

 

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23代目当主の寺田啓佐さんが書かれた「発酵道」を読んだことがきっかけとなって、とても興味がわいて飲んでみたところ、「お酒は古代から伝わる発酵食品の代表だったんだ!」と初めて腑に落ちたほど、お酒が百薬の長であることを実感した秀逸な一品です!

 

寺田本家のお酒は、無農薬のお米と綺麗な井戸水と蔵に棲む自然な菌(蔵つき酵母)で発酵させたお酒で、添加物は一切使わず、蔵人たちの手のひらを使って造られ、無濾過で届けられる自然酒です。琥珀色がかった黄色味の濁りが特徴で、それは本物のお酒である証拠。自然の発酵によって菌本来の力が発揮された生命力溢れるお酒です。そんな寺田本家では毎年、いまの仕込みの時期に日本酒造りの現場を見せてくださいます(※今年の予約はすでに終了しています)。念願叶って初めて参加することができました! 今灯は、その様子のご報告です♪

 

横浜から3時間かけて到着すると、立派な蔵がお出迎えしてくれました。

 

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米蔵を改造した蔵のなかで、現当主の奥様がつくられる〝うふふな発酵弁当〟をいただいて、まずは腹ごしらえ♪テンペ、甘酒、塩麹、酒かす、糠漬けなどなど、発酵食品いっぱいの美味しいお料理に感動です!

 

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お料理を食べ終わると、現当主の寺田優さんご本人が登場!日本酒造りに欠かせない麹、酒母、もろみが作られる工程を、当主自らが説明してくださいます。

 

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まずは麹造り。お米を洗う作業からスタートです。

 

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蔵人たちがこの寒さのなか素手で洗っているのですが、弱音一つ吐かず精神を集中して作業に専念している姿はとても凛々しく、惚れ惚れ見入ってしまいます。こうして魂込めて洗われたお米は一晩水を切って、翌日蒸して、麹菌と混ぜられて麹となっていきます。

 

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製麹室のなかは栗のような甘い香りがしていて、いい麹が育っていることが伝わってきます。

 

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麹はお酒の香りの元となるので、いい麹づくりがいいお酒づくりに直結するとのこと。温度管理が大変なので、生まれたての赤ん坊を見守り成長を願うように大切に接するそうです。

 

次は酒母づくり。樽で米をすりつぶすのですが、蔵人たちが酒造り唄を唄いながら、みんなでひとつの心にして楽しいきもちでつくります。見本として優さんが唄うと、力強い唄声が民謡のようなゆったりとしたリズムに乗って蔵の中に響き渡り、感動して鳥肌が立ってしまいました。

 

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和醸良酒という言葉の通り、蔵人たちに「和」が生まれると蔵の中はたのしい“氣”で溢れ、健康によいお酒ができるそうです。微生物と響き合いながらお酒を醸したいという想いを追い求めているうちに機械を使わなくなり、昔ながらのこのような作業になったとのこと。電氣やガスもない時代の酒造りに近づけて、これから復活させていきたいとおっしゃっていたのが印象的でした。そんな“うれしき たのしき ありがたき”な環境で、酒母は幸せそうにぶくぶくと泡立ちながら成長していきます。

 

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最後はもろみづくり。日本酒造りの本番です!蔵の中の梯子を登って、もろみの入った大きなタンクとご対面。そのスケールの大きさに思わず「わ~!」と声が上がります。

 

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ここでほぼ完成した最終段階のお酒をひとくちいただきます。

 

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舌だけではなくカラダの細胞ひとつひとつが喜ぶような感覚で、生きたお酒であることを実感します。寺田本家のお酒は、その年によって辛くなったり甘くなったりと、多少味が異なるのが特徴だそうです。「わたしたちはキレイにそろったお酒をめざしていません」とおっしゃった優さんの言葉が、自然の理に則った本物のお酒を造っている証だと感じました。

 

優さんはこうおっしゃいます。

 

「人間は微生物の恩恵を受けて生きています。腸内細菌は100兆どころか今では1000兆という説もあるくらいです。現代の抗菌・殺菌といったキレイすぎる生活や抗生物質が、現代病を作っているのではないかと思うんです。昔から日本人は、微生物がつくり出した発酵食で健康に生きてきました。糠漬け、味噌汁、鰹節、酒、醤油など、日本食と呼ばれるものは全て発酵したものです。欧米食は発酵していないから、健康を遠ざけるのではないでしょうか。お腹は蔵であり発酵場の装置です。もっと微生物の力を取り入れれば、薬や予防接種などに頼らずとも、昔の人々のように健康に生きられるはずだと思うんです」

 

なるほど、お腹は蔵で発酵場の装置か!確かに、内臓の「臓」という字には「蔵」が入っていますよね。一人ひとりが持っているカラダの蔵を、寺田本家のように微生物を信頼して愛して、どれだけの蔵付き酵母を育てて増やしていけるか。それが心身の健康に直結するのかもしれません。発酵には楽しく健康に幸せに生きるヒントがたくさんあるので、どんどんその世界にハマってしまいます。寺田本家さん、微生物が教えてくれる学びいっぱいの貴重な見学会をありがとうございました!

 

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寺田本家ホームページ
http://www.teradahonke.co.jp/

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