1月も後半にさしかかり、一気に零下のパリです。太陽が顔を出し、青空は続いていますが、とにかく寒い! 道路わきの水たまりも凍っています。そんな日は、あったかいスープや食べもので体を芯から温めたい。そうなると、どうしてもアジア料理が食べたくなります。
今回はパリにおけるアジアの食をご紹介しましょう。
パリ市内には大きな中華街が2つ、そして小さな中華街がひとつあります。1歩足を踏み入れると、本当にここはパリなの? と問いたくなるくらい、街の雰囲気も、においも、歩いている人々も違う。中国野菜やアジアのフルーツ、ドリアンなんかも目に入ってきて、そこにいるだけで旅行気分を味わうことができます。しかも、豆腐専門店のおいしい豆乳やつくりたての豚まん……そこでしか買えないレアものもたくさん。近ごろ、パリの街中にもアジア食材店が増えましたので、日本食材に関しては不自由しないのですが、中華街へ行くと、珍しい野菜や食材についつい手が伸びて、毎回あれもこれも、と欲張ってしまいます。
左:アジア食材店に並ぶ生麺や豆腐は、その種類も豊富。
右:春菊やあまり見たことのない葉野菜もあり、どれも新鮮。
さて、中華街へ行くいちばんの目的は、やはりレストラン。中華料理や韓国料理、ベトナム料理を目当てに、友達と待ち合わせます。日本のアジアンレストランというと、どこもおしゃれにデコレーションされているイメージですが、こちらの本格アジア料理店は、だいたいひと昔前のアジアの雰囲気。店内はパリでは珍しい蛍光灯の光で照らされ、演歌(?)みたいな音楽がかかっていて、わいわいとみんなで騒げるお店もあれば、せまくてぎゅうぎゅう詰めというお店もあります。みんなで集まるのが目的の場合は大きな中華レストランで丸テーブルを囲み、とってもおいしいけれどせまい! というお店に行くときは、少人数で目的の料理を食べてさっさと出る。この2パターンに分かれます。
左:ベトナム料理店「Taing Song-Heng」(3 rue Volta 75003 Paris)にて。うどんのようなフォーは、ミントやコリアンダー、生もやしをトッピングし、最後にレモンをぎゅーっとしぼっていただく。
右:「Lac de l’Ouest」(7 rue Volta 75003 Paris)は、パリのグルメな友人たちが教えてくれた肉鍋の店。白菜や豆腐も入って、寒い日にぴったり。
どんなに急いでいても食事はゆったりと楽しみたい派ですが、アジアの味が恋しく、たとえ相席でも食べたい! と思うことがあります。特にベトナムのスープ麺・Pho(フォー)は、寒い日にいただくには最適な1杯。日本にもおいしいベトナムレストランはたくさんあると思いますが、パリには、フォーとボブン(牛肉炒めとベトナム春巻き、野菜がたっぷり入った汁なし麺)しかメニューにないというお店があり、初めて友達に連れて行ってもらったとき、行列が嫌いなフランス人が黙って並んでいる姿を目の当たりにして、「あ、ここは本当においしいんだな」と食べる前から確信できました。ときどき無性に食べたくなります。
それから、四川こしょうの効いた麻婆豆腐や肉鍋がやみつきになる中華料理店、餃子専門店や韓国料理も捨てがたい……パリにいながら本格的なアジア料理が食べられるのは、とってもありがたいことです。
左:餃子専門店「Ravioli chinois Nord Est」(11 rue de Civiale 75020 Paris)の焼き餃子。皮はモチモチで、種類豊富。
右:韓国料理のユッケジャン。とろとろに煮込まれた牛肉とポワローねぎ、ピリ辛スープで体の芯から温まる。
パリを旅行中、連日のフレンチに飽きてしまったら、本格アジア料理を味わってみてはいかがでしょうか。