禊行法の手順2

 前回は、まずは服を脱いで(笑)、祓詞でお祓いをして清め、鳥船行事で、身体を動かして心身統一を図っていくところまでを紹介しました。

 今日はその続きです。ちょっと本格的ですが、もう少し、おつきあいくださいね。

 

(厳島神社 image

(4)(お)(たけび)行事 おたけびぎょうじ

 両足を開き重心をセンターにして姿勢を正して立つ。

両手は腰にあて、道彦の発生に従い、「(いく)(たま)と唱え全身に力をみなぎらせます。

 次に(たる)(たま)と発声し、さらに力をみなぎらせる。腰の手にも力を感じ、腹部、腰、足に力を注ぎこんでいきます。

最後に「玉留(たまたまる)(たま)~ たまたまるたまぁ~と大きな声で両足に力をいれ、つま先立つように全身を引きあげ、ついで踵をおろす。最後は息が続く限り声を出していくのです!!

 

 姿勢をただして行う雄健行事は、、神々しい神の神格の表れを自らが体感する行と呼ばれます。

 ちょっと参照!(『神道入門 その二・行法編』山蔭基(やまかげもと)(ひさ)1979年 白馬出版株式会社)より

(注)「(いく)(たま)」は、生けるものとなった我が身の象徴で、人格が玉の如く丸く豊かな輝きとなって生命に創造の働きを生じたことを意味する。こうなれば病気でも治すことができる神癒霊力がおこるという。

(たる)(たま)」生けるものとなった我が魂が、強く建設的に他人の為、社会の為に働くようになったという象徴で、智恵の玉であり、神の休みなき御神業(みわざ)に奉仕できる人となった人格のことを言う。

 

 

(5)雄詰行事 おころび行事

まず、天之(あめの)(ぬま)矛印(ほこいん)を結びます。

右手の人指し指と中指(第2と3指)を立て、親指、薬指、小指(第1・第4、第5指)は折り、眉間の前に斜めに構えます。左足を斜め前に踏み出し、左手は腰にあてます。

そして(くにの)(とこ)立命(たちのみこと)叫ぶー

この神さまは、天と地が分かれてのち混沌の中から現れた最初の神さまです。

私は(くにの)(とこ)立命(たちのみこと)で創造神である」と、神さまの名を名乗ることで、宇宙と自分との一体感を求めて宣言するワケです。

次に、「イーエィ」という気合を入れ、右手を斜め左下方へ切り下ろすと同時に、右足を揃える。

この意味は、災害や凶事をもたらすといわれる霊を、「私は(くにの)(とこ)立命(たちのみこと)で創造神である」という宣言の言霊で断つ

 

その後、「エーイッ」の気合の言霊とともに、右手と右足を元に戻し、切った邪を元気をみなぎらせ光に戻していくのです。

 これを三回繰り返す。

 

 

(6)伊吹(いぶき)行事(ぎょうじ)

大地と天の息を全身で吸い丹田に集め、全身に息吹をこめていきます。

両足を広げて立ち、両手を上に差し上げて天の気を、鼻からいっぱいに静かに吸って丹田に収め、次に両手を頭上で組み、体の前に下げます。

この時丹田を膨らませ静かにその気が全身に広がることをイメージします。

両手を丹田前に持っていき、それに従い静かに息を口からゆっくりと吐きながら、両手は地面の方まで下ろし、組んだ手を離す。

次に大地の気を頂きながら、両手と上体を起こしていき、後は同じ。

三回繰り返す。

 

大変、長らくお待たせしました~!

これまでの準備をした上で、いよいよ水をかぶる「禊行法」突入です!!

 

 

(7)禊行事 みそぎぎょうじ

道彦の合図で、天之沼矛印を作り「エーイ」の気合とともに空気を切り、丹田から気合を入れていよいよ水に入っていきます。

川・海・滝・禊場へと・・・。

そして振魂しつつ「祓戸大神」と唱える。

水をかぶる時間は、季節や場所により違います。

長い場合は、大祓詞を何度か奏上することもあります。

ちなみに「大祓詞」は一回奏上するのに5分程度を要します!

 

また禊場では「エーイ」の掛け声とともに、禊場の水を桶に汲み、自分で全身に水をかけていきます。

 

最初は水の冷たさを身体に感じますが、じょじょに、心の中に静けさが訪れ、やがて水と一体となる自分を感じました。

水が自分なのか、私が水なのか・・・時間があるのか、ないのか。自然の中に「今」が溶けていく・・・恩寵。喜びの中にただ在る感覚!!

 

image (伊勢・五十鈴川)

 

 

 神職研修で伊勢の五十鈴川での禊の時、私は理由もないのに、ただただ涙が溢れだしました。その涙はしばらくとまりませんでした。

 

 喜びの恩寵の中での涙・・・今も、あの感覚は忘れられません。

「私は、この為に生まれてきたんだ」って初めて感じられたのです。

 

 深い深いハートの奥から、泉のように湧き出した涙。

 さらに告白すると、私はご先祖から、「一代、還ってきてくれてありがとう」

そう言われた気がしたのです。家は神祀りが戦後、途絶えていましたから・・・。

 

あっ、禊はまだ終わりではありません。

やはり締めも大切ですからね。

 

(8)鳥船行事  祝福

前に同じ。道彦の先導で、拍手を打ち「おめでとう」と祝福する。

(9)雄健(おたけび)行事

前に同じ。省くこともある。

10伊吹(いぶき)行事(ぎょうじ)

省くこともある。

(12)着装

           着装後、静かに正座し、瞑目し終了

 

はい、これで行法手順は終わり。

でもまだ「禊」について伝えたいことが。

次回は禊体験記です!

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