ほとんどの人のダイエットが成功しない理由は「無知」なこと
120万部を突破し超ベストセラーとなったダイエット本「体幹リセットダイエット」。
短時間の簡単エクササイズで体幹のバランスを正し、筋肉や関節の柔軟性を出すことでキレイに痩せるというメソッドで、多くの女性の悩みを解消したこの本の著者である佐久間健一さんは、トップモデルや人気女優はもちろん一般の人まで幅広くボディメイクをパーソナルトレーナーとして指導。また日本だけでなく世界各国にも展開するボディメイクスタジオ「チャームボディ」の代表としても活躍する、ボディメイクのカリスマだ。
そんな佐久間さんに、なかなかダイエットが成功しない人の特徴について聞いてみると、有酸素運動や糖質制限など意外なキーワードがいくつも挙がった。
「テレビやネットなどで本当にたくさんのダイエット情報が拡散されていますが、それらを試してみて実際に痩せたという人はあまり聞きません。それは、体の基本的な知識を知らないまま、安易で極端なダイエット法に飛びついてしまうからです」
確かに「●●だけダイエット法」がテレビで紹介された翌日のスーパーに行くと、その食材の棚が空っぽになっている。そんな光景を繰り返し見たという人も多いだろう。世の中の多くの人がダイエットを望みながら、なかなか実現できていないという象徴的な出来事ともいえる。
「お医者さんや著名人が紹介する極端なダイエット法は、その成功者の体質や生活習慣などに合致したやりかたというだけであって、万人に合うというのはあり得ません。多くの人がすぐに小手先のダイエットテクニックに飛びつくのですが、理想のボディメイクの実現にとって本当に大事なのは、人間本来の身体の作りや特徴をしっかりと理解し、自分の中に『ボディメイクのための軸』となる知識をつけることです」
そう語る佐久間さんに今回、なかなかダイエットが成功しない人が無意識に行っている「NG習慣ワースト5」を教えてもらった。
「ダイエットを望む人に生活習慣を聞くと、やってはいけない行動が意外とたくさんあります。そしてそのことを指摘すると、ほとんどの人が『知らなかった!』と驚かれます。それだけ正しい知識を持たないまま無謀なダイエットに挑戦する人が多いということです。今回はそんなたくさんのNG習慣の中でも、特に意外なNG習慣を紹介します」
佐久間さんが指摘するNG習慣は、どれも意外で驚くことばかり。カリスマトレーナーのアドバイスを読んで、早速、NG習慣を正し、理想のボディメイクを今度こそ成功させよう!
カリスマトレーナーが教える「ダイエットのNG習慣」(1)<有酸素運動>
「最初に紹介するNG習慣は『有酸素運動』です。多くの人がジムや公園でジョギングをしたり、自転車に乗ったりしていますが、実際は『走ってもなかなか痩せない』という人が多い。これは痩せるために有酸素運動はNGだからなんです」
いきなり最初から意外なNG習慣に驚くが、佐久間さん曰く、「筋肉が落ちて基礎代謝が減ってしまい、エネルギー消費量が落ちることで痩せにくくなる」ためとのこと。
「20分以上の運動で体内にストレスホルモンが増え、筋肉量が落ちてしまいます。すでに体ができている人にとっては有酸素運動が有効な場合もありますが、そういう人も2時間くらいの有酸素運動を毎日続けるくらいの運動量をキープしないと筋肉が減ってしまいます。ダイエットをめざす人がたまに20~30分の有酸素運動をするのは、筋肉を落として基礎代謝を減らすだけです」
正しい知識なく、中途半端に自己流の有酸素運動にトライすることは避けるべきと、佐久間さんはアドバイスしてくれた。
カリスマトレーナーが教える「ダイエットのNG習慣」(2)<週3回以上の運動>
「2つ目のNG習慣は『週3回以上の運動』です。これは学生時代に運動経験のある人や短期間でダイエットしたい人に多いのですが、痩せるために毎日ジョギングするのは逆効果。また1回で長時間運動するのも避けたほうがいい」
特に学生時代の部活経験があると、ダイエットのためにと一念発起、「毎朝ジョギングするぞ!」と運動したりする人も少なくない。また「せっかく運動するのだから」と、長時間走ったり筋トレしたりする人も多いだろう。
しかし、佐久間さん曰く、「たくさん、長く運動するほど健康に良いという考えは間違いです」とのこと。
「みなさんが身体に良いと勘違いしている『健康のために毎日30分以上の運動をする』という考えはアメリカからきたものですが、じつはアメリカ人の肥満の人向けのガイドラインなんです。そもそも日本人の体型や健康状態とアメリカ人とはまったく違います。アスリートなどは別として、一般の日本人がダイエット目的で毎日運動をする、一気に長時間運動をすることは体に悪影響を及ぼすということを知っておいてほしいですね」
佐久間さん曰く、「例えば、ボディビルダーは毎日運動しているように見えますが、決して長時間ダラダラ運動しているわけではない」とのこと。
「彼ら彼女たちのやり方を簡単に言うと、小さい筋肉を部位ごとに10分集中して鍛えるという運動を週70分するというもの。『週に90分以上運動すると筋肉を減らすコルチゾールというホルモンが増加する』と言われていることもあり、ボディビルダーなどの正しい運動習慣を持つ人は基本的に週90分を目安に運動しています。だから、『平日が忙しいから、ダイエットのために土日だけ2時間ずつ走っています』という人は一番失敗するパターン。もちろんアスリート並みの人は例外として、ダイエットをめざす普通の人にとって、運動のやりすぎは百害あって一利なしと言えます」
真面目な人ほど、「頑張って運動する」、「我慢して食事を減らす」という頑張り度合いを高めがちだが、ダイエットをするという目的に関しては、頑張りだけでは成功しないということをしっかり覚えておきたい。
カリスマトレーナーが教える「ダイエットのNG習慣」(3)<糖質を抜く>
「3つ目のNG習慣は『糖質を抜く』こと。最近、糖質制限がブームになっていますが、これも準備なく無計画にすればダイエットに逆効果になることがほとんどです」
ボディメイクに敏感な人だけでなく、サラリーマンや主婦の間でもご飯や麺類などの炭水化物を抜く糖質制限を意識している人が増えている。しかし、佐久間さん曰く、「2年くらいストイックに続けない限り、中途半端な糖質制限は逆に糖質を吸収しやすい体質になってしまう」とのこと。
「お米を食べないようにする生活習慣を意識している人も少なくないですが、糖質を一切取らない食生活をできる人は少なく、できるだけ食べないようにする程度の意識の人がほとんどだと思います。その場合、『今日だけは……』とたまに食べる糖質が全部吸収されてしまい、ダイエットには逆効果でしかないんです」
また、佐久間さんは糖質制限には別の悪影響もあると指摘する。
「糖は脳のエネルギーとして人間に欠かせない栄養素なので、思考低下を誘引します。また、糖質を摂らないと足などがつりやすくなったり、骨が弱くなったりするという研究結果もあります。しかし、ダイエットをめざす人にとって、中途半端な糖質制限の一番の問題は『筋肉を壊してしまう』ということ。日常生活でのちょっとした手や足の曲げ伸ばしには糖質がエネルギーになっているんですが、糖質が不足するとこれらの日常動作に無理が出て、結果、筋肉を傷める可能性があるんです」
何も考えずただ「糖質制限」という言葉に踊らされ、無知識に中途半端な実践をしている人がほとんどだろう。しかし、自分たちの身体の中では、そんな無知な行動がさまざまな歪みを生み、体内や日常生活に悪影響を及ぼしている……。そういう意味でも、佐久間さんの指摘する「知識のないままの無謀なダイエットの危険性」は、しっかり念頭に入れておくべきだろう。
カリスマトレーナーが教える「ダイエットのNG習慣」(4)<脂質をカットしすぎない>
「4つ目のNG習慣は、『脂質をカットしすぎない』ということです。基本的に1日に摂取するカロリーのうち25%から30%は脂質で摂取すべきです」
ダイエットを意識する人は、糖質制限と合わせて、脂質を避けがちだ。しかし、佐久間さんは脂質を減らし過ぎるのは逆に痩せにくくなると言う。
「簡単に言うと『ダイエットとはホルモン次第』です。運動することで、体内にコルチドルという分解ホルモンが発生して脂肪を分解する。タンパク質を食べれば、脂肪分解ホルモンが出る……など、ボディメイクはホルモンで決まってくると言っても過言ではない。脂質という栄養素は体内でホルモンを作る際の材料になるので、減らし過ぎるのはダイエットにとって大敵です。1日の摂取カロリーのうち、脂肪が15%を下回ると、脂肪を分解する基礎代謝を増やすホルモンが作られなくなってしまう。その結果、免疫ホルモンや男性ホルモンと女性ホルモンにも悪影響を及ぼすので、極端な脂質カットは、ダイエットはもちろん健康にも逆効果なんです」
もちろん適度に摂るという意識は大切だが、「糖質も脂質も減らせば減らすほど、ダイエットに結び付く」ものではないということを理解すべき。食事も運動も、適切なタイミングで適切な量を毎日続けることが、ダイエットはもちろん健康につながっていくということだ。
カリスマトレーナーが教える「ダイエットのNG習慣」(5)<大食い後の食事抜き>
「最後のNG習慣は、無計画な食事制限です。よく『昨日の晩は食べ過ぎたから』と翌日の朝食を抜く人がいますが、これはダイエット成功をめざす人にとってもっとも避けるべき習慣です」
これも多くの人にとって経験のある習慣だろう。なぜそうしたのかほとんどの人が正確には説明できない「思い込みダイエット法」の代表格と言えるこの習慣。佐久間さん曰く、「血糖値のアップダウンが激しくなるため、筋肉が減り、脂肪が増える悪いサイクルを体内に作ってしまうから」とのこと。
「普段食事している時間帯の1食分を抜くことで血糖値が底を打った状態になった後に食事をすると、身体が摂取エネルギーを脂肪として蓄えようとします。食事のリズムを変えることは、身体が『次いつ栄養が入るかわからないから、念のために脂肪として蓄えておこう』となるので、大食いした後に1食抜くというやり方はダイエットには逆効果でしかありません」
とはいえ、食べ過ぎた罪悪感は残ってしまう。そんな時の解決策として、佐久間さんは「1日単位、1週間単位で計画的に平均をとる」という考え方を勧めてくれた。
「例えば、1日の食べる量が10として、1食で8を食べてしまった時があったら、次を0にするのではなく、0.5でもいいのでしっかり食べることが大切です。接待の会食が続く時など、もし1日で平均が取りづらい場合でも、1日3食をしっかり摂るという原則は守りつつ、1週間でバランスを取るようにすれば大丈夫です」
1食くらい食べ過ぎたからといって、一時的に体重は増えるかもしれないが、それだけで肥満になるわけではない。食べ過ぎに神経質になり過ぎず、できるだけ同じリズムで1日3食を摂り、1日単位、1週間単位でバランスをキープすることが重要だ。
カリスマトレーナーが教える「ダイエットのNG習慣」のまとめ
多くの人がネットなどで目にした情報などを鵜呑みにして、糖質や脂質を極端に避けたり食事を抜いたりする。しかし、そういう考えの浅い行動が結果的に健康を害するということは、冷静に考えてみれば当たり前のことだ。
何事にも極端にすることが良い結果を生むことはない。ダイエットを成功させたいなら、無闇に極端な行動を取るのではなく、自分のカラダを知り、栄養素の役割や効果をしっかり学んだ上で正しいやり方をとることが、結果的にダイエットの近道となると言える。
佐久間さんの教えを要約すると、「ダイエットに近道はない」ということだろう。まずは1日20分の運動を週2、3回続け、バランスの良い食事を毎日3食摂ること。簡単なようで意外と難しいこの当たり前を続けることから始めよう。
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