【今週の悩めるマダム】
夕飯に家族が揃いません。大学生の娘、高校生の息子と主人はアルバイトや部活動、飲み会で帰ってくるのが遅く、せっかく用意しても、突然「いらなくなった」ばかりです。自分で作った料理を1人で食べる虚しさといったら……。そんなことならもう作らないほうがいいのでしょうか?(静岡県在住・50代女性)
「そんなことならもう作らないほうがいいのでしょうか?」というお嘆きですが、そんなことになっても作らないとならないのがお母さんなのだと思います。男女差別と言われてしまうかもしれませんが、男の私も一日中キッチンで料理をしています。あと数年でうちの息子は出ていきます。来年高校生なので、早ければ4年後には私は自分のためだけにご飯を作ることになるわけです。想像してみてください。寂しくないですか? 年老いた辻仁成が孤独なキッチンでご飯を作って食べている絵!
奥様がうらやましいのは作った料理が残っても、それを翌朝食べてくれる人たちがいるということです。夜中に帰ってきたご主人が食べてくれるかもしれないですし、部活から戻ってきた息子さんが「腹減った。なんかある?」と言ってがつがつ食べてくれるかもしれない。時間はばらばらでしょうが、少なくとも奥様がこしらえた愛情料理は翌朝までに消費されるという仕組みです。全員が揃って夕飯を食べることができればそれに越したことはありません。しかし、みんながそれぞれ忙しい人生を送っていること自体、素晴らしいことじゃないですか? ご主人だってお付き合いがあるんです。会社員をやったことのない自分には分かりませんが、大変だと思います。
ここで私からの提案ですが、もう少し計画的に夕飯を用意されてはどうでしょう? 翌日まで食べられるような献立にすることをおすすめします。帰ってきたお子さんやご主人が食べたいときに食べられるようなものを。たとえば、辻家の場合ですと金曜の夜に野菜(根菜類などいいですね)と肉(豚とか鶏がいいでしょう)の煮込みを鍋で大量に作ります。最初は和風の味付けに。まずは白米を炊いて野菜と肉の煮込み料理として食べます。翌日の昼はここにアリッサ(唐辛子ペースト)などを加えて、ご飯ではなくクスクスとかで食べるんです。気分はいきなりアフリカ風に。その夜はカレー粉を入れていきなりインド風に! 白米だと息子もさすがに「またぁ!?」と文句を言うので、バターライスにします。パスタという手もありますね。で、日曜日の昼は残ったカレーに大量の牛乳を加え、だしなどで味を調え、カレーうどんにしちゃうわけです。このように工夫をすれば、1つの料理でもいろいろ遊ぶことができます。
そんな私ですが、息子が学校に行っている間はキッチンで1人カップラーメンをすすることもあるんです。泣きたくなりますよ。離婚したばかりのころは、つい長年の癖で3人前の料理を作ってしまい、残った料理を持て余すこともありました。人生はいろいろあります。奥様の幸せな嘆きは、私のような者にはうらやましい話なのです。だから、私に免じてみんなを許してやってください。
【JINSEIの格言】
同じ煮込みでも、和風、アフリカ風、インド風と七変化! 家族が食べたい時に気分でバリエーションをつければ案外楽しい。シングルファザーの私はそうやって家事をしています。
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