死にたいと思ったときに幼い息子の姿を見て……(JINSEIのスパイス!第29回)

【今週の悩めるマダム】

これまで独身でがむしゃらに働き続けてきましたが、将来が見えません。ぼんやりとした不安に囲まれています。休日には買い物に行ったりしてストレスを発散していますが、どうしても満たされません。理由もなく、死にたいと思うことすらあります。寂しさに耐える毎日がつらいです。(愛媛県在住・50代女性)

 

54歳の夏、僕は突然シングルファザーになりました。それはまるで、船から荒波に放り出されるようなものすごい出来事だったのです。まさか、そんなことが自分の身に起こるとは思ってもみませんでした。離婚報道時、僕は舞台演出の仕事で東京に滞在中でした。朝、目が覚めると、携帯に数多くのメールが届いていて、ただ事じゃないことを知ります。慌ててネットニュースを確認し、何が起きたのか知ったのです。僕はその離婚記事についていっさい知りませんでした。稽古場に行くと何百人もの報道陣がいて、中に入ろうにも入れませんでした。そこから地獄の日々が始まります。どうやってあの地獄から抜け出せたのか、生き続けたのか記憶がない。ともかく季節が終わるころにはシングルファザー人生がスタートしていました。

 

僕は生まれて初めて死にたいと思ったのです。そんな状態で子どもを抱えて生きていくことができますか? 頼れる人は1人もいませんでした。当時の僕には、周囲のみんなが面白がっているようにしか思えなかった。ところが2人きりになったパリのアパルトマンで、息子が涙を堪えている姿を見つけてしまうのです。僕よりももっと苦しんでいる子がいた。くまのぬいぐるみに顔を押し付けて、声を殺してすすり泣いている。ぬいぐるみは涙でびしょ濡れでした。僕はその時、思ったのです。この子のために生きよう、と。これは自分が仕事ばかりしてきたせいに違いない。これからはこの子のためだけに人生を捧げようと思ったのです。45歳も年が離れているこの子のために生きることを余生の意味と誓いました。

 

それから6年の歳月が流れたのです。その間のことはご存知かもしれませんが、家族を立て直すために僕はありとあらゆることをやりました。自分を捨てて生きました。小学生だった子は今年高校生になります。彼はもう泣かない。毎日笑顔です。元気な最高の笑顔を浮かべます。実は、人生これからなんですよ。人生100年時代と言われるこの時代、50代というのはちょうど折り返し地点です。僕は今年60歳になります。でも、幸せですよ。僕は頑張ったと胸を張ることができるからです。

 

10月12日に東京・オーチャードホールで生誕60周年のライブも決まりました。あの、もしお時間があれば、遊びにいらしてください。僕のような男でも幸福になれる、その姿をあなたにぜひお見せしたい。もう死にたいとは思いません。一生は一度きり。苦しんで生きても、楽しんで生きても同じ一生ならば、楽しんで生き切った方がよくないですか? 苦しみ生きても、何が起こるか誰にもわからないのが人生というもの。だったら、楽しんでいきましょうよ。僕からは以上となります。

 

【JINSEIの格言】

いつ何が起こるかわからないことに怯え、もう年だからと諦めて生きることにいったいどんな幸せがあるのでしょう。ならば積極的に人生を切り開いていくべきではないでしょうか。

 

この連載では辻さんが恋愛から家事・育児、夫への愚痴まで、みなさんの日ごろの悩みにお答えします! お悩みは、メール(jinseinospice@gmail.com)、Twitter(女性自身連載「JINSEIのスパイス!」お悩み募集係【公式】@jinseinospice)、またはお便り(〒112-0811 東京都文京区音羽1-16-6「女性自身」編集部宛)にて絶賛募集中。 ※性別と年齢を明記のうえ、お送りください。

 

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