「もう死にたい」という家族の言葉に、どう答えるべきか

【新連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談

 

TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう〜医療と宗教の間のケア〜』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。

 

【今回の相談内容】

もうすぐ85歳になる母。いつも「もう死にたいのに、なかなかお迎えがこない」と言っています。かわいそうだとは思いますが、毎度のことにイラつく自分もいて、よけいに落ち込みます(62歳・主婦)

 

【回答】

「もう死にたいのにお迎えがこない」。これほど言われて返答に困る言葉はないのではないでしょうか。それをいつも聞かされていらっしゃるとは、大変ですね。

 

この言葉は、お母さまの心の奥底にある小さな「箱」の中から湧き出てきています。その箱は、普段はフタが閉じているのですが、“命の限り”を意識したようなときに開きます。開いた箱の中から出てくる言葉には、答えがありません。答えがないから、聞かされた方は困ります。そして、その言葉は、聞かされた人の心の奥底にある箱のフタを開けてしまう力も持っています。だから、つらくなったり、悲しくなったり、怒ったり、イライラしたりするのです。これをスピリチュアルペインといいます。魂の痛み、とでもいいましょうか。

 

もともと答えなどないのですから、「もう死にたいのにお迎えがこない」という言葉は、肯定も否定もせず、ただただ真面目に慈愛をもって聞き流しましょう。言いたいお母さまを「そんなこと言わないで」と止めようとしなくていいし、聞いたあなたもなにか答えようとしなくていいのです。そして、イラついたり、時に悲しくなったりと感情が動いてしまう自分をただただ認めましょう。感情が動くことに良いも悪いもありません。ただ、「あ、私イラついているな」と気づくだけでいいのです。落ち込む必要なんてまったくありませんよ。誰だってあなたと同じ気持ちになります。

 

大切なのは、あなたがお母さまのまわりにいつづけること。そのためには、まず、あなた自身を優しくいたわってあげてくださいね。

 

【プロフィール】

玉置妙憂(たまおきみょうゆう)

看護師・看護教員・ケアマネ−ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』火曜のコメンテーターを務める。

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