【玉置妙憂の心に寄りそう人生相談】母との別居で弁護士まで

【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談

TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。

 

【今回の相談内容】

私は妻と3人の子供の5人で暮らしています。父親はすでに亡くなっており母親が隣の県に一人で住んでいますが、いずれは私たちも近くに住もうと家を新築しました。家にはせっかくなので今は母親に住んでもらっていますが、私たちが移るときには近所に引っ越しして別居してもらいたいと考えています。その旨を正月、家族が集まったときに話したところ、母親や弟、姉が激高し、厳しい言葉浴びせられました。「住宅ローンはすべて自分が払っている」と言っても、「それは元々そういう話だった」「母親を追い出そうとするなんてひどすぎる」と反論され、まったく話し合う余地がありません。妻と母親は元々そりが合わない関係だったのですが、この一件をきっかけに関係が完全に断絶。すでに弁護士を立ててお互い争うところまで来ているのですが、私としては何とか関係を修復したいと思っています。何か良い解決法がないものでしょうか。(37歳・会社員・男性)

 

【回答】

う~ん。いろんな要素が重なり合って、からまってしまったのですね。言い方とか、話す順番とか、言い出すタイミングとか、とにかくすべてがからまる方に向いちゃったのでしょう。もう、お気の毒としか言いようがないです。あなたも奥様もさぞかし嫌な思いをされていらっしゃるでしょう。そして、同じようにお母様も弟さんもお姉さんも、嫌な思いをなさっていることでしょうね。

 

こういうとき、いちばん厄介なのは「事実」ではなく「感情」です。お母様方の言い分をお聞きしていないので片手落ちがあるかもしれませんが、あなたの言い分をお聞きする限り、あなたのおっしゃっていることに非はないように思います。家のローンを払っているのはあなただし(頭金とか出していただいてないですよね)、家の名義もあなた(たぶん)。となれば、その家に誰が住むかを決めるのはあなたということでしょう。「事実」はものすごくシンプルですよ。

 

ただ、そこには物語がありますからね。そして物語には「感情」がつきものです。「感情」がしゃしゃり出てくると、からまるのですよ~。そして私たちは、「からまったものをからまったまま置いておく」というのがとても苦手なものですから、すぐさま解きにかかります。もう、ひっぱったり、ちぎったり、むしったり、どんなことをしたって解こうとやっきになってしまう。

 

でも、力というものは押せば反発してくる。昔、物理の授業で習いましたよね。これ、道理です。だから「感情」だって、圧をかければ反発してくる。解こうとやっきになればなるほど、からまっていくのですよ。ましてやあなた、弁護士なんて超度級を持ち出しては…。修復したいとお考えなら、この糸玉からいったん離れてみては? できる限り時間と距離をおいて、解こうとするのをやめてみましょうよ。からまった糸玉をほどくのがいちばん上手なのは、なんといっても「時間」ですから。

 

【プロフィール】

玉置妙憂(たまおきみょうゆう)

看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』火曜のコメンテーターを務める。

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