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【今週の悩めるマダム】

東京でも緊急事態宣言が解除され、以前と何ら変わらない状態に一気に戻ってしまった気がします。お店も普通に再開しているから当然といえば当然なんですが……。そんな世の中の空気に流されてしまい、私も最近マスクやアルコール消毒を忘れがちになっています。この緩んだ気分を引き締める言葉をください。(東京都在住・50代主婦)

 

フランスも2カ月に及ぶロックダウンが解除され、街に人々が戻ってきました。しかし、人口が7千万人もいない国で、感染者数が15万人以上、死者数が2万9千人を超えているせいでしょうか。解除後は大きく2種類の人に分かれました。ひとつは、より一層強い警戒心を持ち、ロックダウン時に負けないくらい気を使って過ごしている人々。そしてもうひとつは、とくに若い人が多いですが、やはり気を緩めて、新型コロナが消滅してしまったかのように浮かれている人々です。

 

その結果、ロックダウンが解除された直後にフランス国内数カ所でクラスターが発生しました。これはドイツでも韓国でも規制を緩めた途端にクラスターが発生しているので、同じ現象が起きたと言えるでしょう。門を閉じれば水流が抑えられ、開けばふたたび大量に流れ出てくるのはごく当然のこと。人類はこの繰り返しの中で、「コロナとの共存」を考えていかねばならなくなりました。

 

僕は警戒を強めた人たちのグループに入っています。なぜそうなったかと言いますと、ロックダウン最中は法的な強制力が働くので、むしろ安全。でも解除後は門が開いた状態なので、その分、危険も増します。新型コロナの脅威が減ったから解除になったものの、ウイルスがなくなったわけではありません。だから、いまこそ警戒心を強めるべきと思ったのです。気が緩んだときに第二波、第三波が起こります。でも経済を回していかなければいけないので、今後はさらに門を緩める機会が増えていくでしょう。ペストのときにも、スペイン風邪のときにも同様の仕組みで第二波、第三波が起きているのです。なので、解除後こそが大事なのです。

 

これからは自力で各々が頑張っていくしかないということ。周りが浮かれていても、気を緩めず、第二波に備えて自衛し続けてください。フランスの作家にフレッド・ヴァルガスという女性作家がいるのですが、彼女は’06年に出演したテレビ番組で今日のこの世界を見事に予言し忠告していました。感染症のパンデミックが起き、世界的なマスク不足で国民がパニックになる。フェイスシールドをつけ、防護服を着る人も現れると予言しました。そしてロックダウンすることになるだろう、と。彼女は僕がパリで経験したすべてを言い当てています。

 

しかし当時、番組の司会者も視聴者も彼女を笑いものにしました。いま彼女をバカにする人はどこにもいませんし、彼女の予言や忠告に耳を傾けておけばよかったと思う人がほとんどでしょう。“転ばぬ先の杖”という言葉がありますが、地震でも台風でも感染症でも、備えることが大事なのです。気がついたときに手遅れという事態を避けるために。人が浮かれているときこそ影響されず、笑われても備えていきましょう。

 

【JINSEIの格言】

“転ばぬ先の杖”という言葉がありますが、地震でも台風でも感染症でも、備えることが大事なのです。人が浮かれているときこそ影響されず、笑われても備えていきましょう。

 

 

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