【玉置妙憂の心に寄りそう人生相談】母の死後、手紙を見て後悔…子の務めとは
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【連載】玉置妙憂の心に寄りそう人生相談<第35回>

TBS『グッとラック!』のレギュラーコメンテーターをはじめ、数々のメディアにも紹介され大反響を呼んでいる新書『死にゆく人の心に寄りそう~医療と宗教の間のケア~』(光文社)の著者・玉置妙憂さんが毎週、読者の悩みに寄りそい、言葉を贈ります。

 

【今回の相談内容】

3月末に母が他界しました。がんで腎臓と膵臓を摘出していたので苦しかったはずですが、本人の意志で最期も自宅で私と二人暮らしでした。日中は私が仕事で母は家で一人でしたが、それでもヘルパーの力は借りずに、ケンカしたり笑ったりしながら過ごす日々。母は何度も「自分の誕生日に旅立つわ」と言っていて、冗談だと思っていましたが、本当に旅立っていきました。でも、バタバタと家族葬の準備をしていたとき、母からの手紙が出てきて……。入院して手術になったときの不安な気持ち、日中に一人でいる寂しさ、遺品の処理を任せることへの謝罪、私のこれからの心配と応援などが書かれていたんです。最後には幸せだったとも書いてありましたが、母の気持ちを改めて知り、本当に母は幸せだったのか? 母に何ができたのだろうか? と考えるようになり、喧嘩ばかりで優しくしてやれなかったと反省と後悔の念が押し寄せています。さらにコロナの影響で収入が下がるという別の不安もあって。他人に弱いところは見せるなと手紙には書いてあり、なんとか生きないと母にまた心配をかけると思いながらも泣いています。毎日、いろいろなことを思い出して、不安な気持ちと母への謝罪の気持ちでいっぱいです。(48歳・男性・自営業)

 

【回答】

お母さまを亡くされて、まだ間がないのですね。誕生日に逝くとおっしゃっていてその通りにされたとは、潔いというかお見事というか、とにかく天晴れなお姿でした。しかも、お手紙までしたためていらしたなんて。なかなかできることではありませんよ。よほど魂のレベルが高い方だったのでしょうね。

 

「本当に母は幸せだったのか、母に何ができたのだろうか」と反省の日々を送られていらっしゃるとのことですが、まず、幸せだったかどうかを決めるのはお母さまご自身で、あなたさまではないということ。

 

最後のお手紙のなかに「幸せだった」と書いてあったのでしょう? お母さまがそうおっしゃっているのに、「本当に幸せだったのか?」ってあなたが疑ってどうするんですか。

 

それから、「母に何ができたのだろうか」ですけれど。私にも息子がいますのでね、思うところを申しますと、子どもが生まれてきてくれたときにはもう母はすべてをもらっているんですよ。

 

完璧にfullなのです。その後の時間はたとえ喧嘩したって、いがみ合ったって、オマケみたいなもの。子どもという存在を得た完璧なfullは欠けることはありません。母親なんてそんなものですよ。だから、あなたが何もしてくれなかったとしても、それでどうこうなることはありませんね。

 

人間はいつまでも生きているわけにはいかないものです。だから先に生まれた親の方が先に逝くようになっています。

 

空の上から可愛いわが子を見下ろしたときに、毎日不安と謝罪の気持ちでいっぱいな様子を見たら、せっかく天国にいるのにのんびりもできやしない。いろいろなことを思い出してくれるなら「ありがとう」と「大好き」って気持ちでいてくれたら安心です。

 

【プロフィール】

玉置妙憂(たまおきみょうゆう)

看護師・看護教員・ケアマネ-ジャー・僧侶。「一般社団法人大慈学苑」代表。著書『死にゆく人の心に寄りそう』(光文社新書)は8万部突破のベストセラー。NHK『クローズアップ現代+』、『あさイチ』に出演して大きな話題に。現在、TBS『グッとラック!』(火曜)のコメンテーターとニッポン放送『テレフォン人生相談』のレギュラーパーソナリティを務める。

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