「私が『ナースのお仕事』に参加したのは、パート3から。プライベートでも仲よしの観月ありさちゃん演じる朝倉いずみの後輩ナースという役どころ。ミニスカ対決もあったから、プロデューサーから『ありさちゃんにミニスカで対抗できるのは、うのちゃんしかいない』とオファーがあって、二つ返事でOKしたんです」
そう振り返るのは、神田うのさん(49)。もともとドラマの現場にはトラウマがあったという。
「初めてドラマに出演したときは、バラエティ番組などが忙しくて迷惑をかけていたのかもしれません。ある日、お弁当を探していたら、ドラマの裏方さんから『バラエティと違って弁当なんてねえんだよ!』なんて怒鳴られたことも。“もうドラマはこりごり”と避けていました」
ところがバラエティ番組で知り合った大島渚監督から映画『御法度』への出演依頼が。
「『うのちゃん、お願いだから出てよ』って。お芝居できませんよと言っても『いいの、いいの、セリフないから』と花魁道中のシーンにだけ参加したんです」
こうした経緯もあって、ドラマの現場で感じていた壁がなくなったそう。
『ナースのお仕事』では、リアリティを出すため、本物の医療機器を使用したという。
「さすがに針はつけないけど、注射器も本物だし、医師やナースの指導で血圧計の使い方も勉強しました。聴診器は撮影終了後にプレゼントしてくれました」
当時はバブル全盛期。夜の飲み会も盛んだった。
「現場では、待ち時間はうつむいて寝ていて、本番がくるとむくっと起き出す感じ。休みの日の前日は、ありさちゃんとごはんを食べに行って、ボーイフレンドの話で盛り上がったりしていました」
ドラマの撮影期間に、『御法度』がカンヌ映画祭に出品されることが決まった。
「大島監督が『うのちゃんをカンヌに連れていきたい』とドラマのプロデューサーにかけあってくれて、(ビート)たけしさんや(松田)龍平君と一緒にカンヌに行きました。いきなり女優みたいな感じになった時期でしたね(笑)」
このころは、女優の仕事も楽しく感じていたという。
「ドラマ開始当初は10代だったありさちゃんを成長させたのが松下由樹さんだと、プロデューサーから聞いていました。たしかに由樹さんとからむと、女優初心者の私も芝居っぽくならずに自然な演技ができるんです。年上のお姉さんだった由樹さんが、若手キャストの演技を引き上げる、裏ボス的な存在だったんです」
『ナースのお仕事』(フジテレビ系・1996年~)
ドジな新米ナース・朝倉いずみ(観月ありさ)が、先輩ナース・尾崎翔子(松下由樹)の指導を受けて成長していく医療コメディ。2人の「あ~さ~く~ら~!」「せ~んぱ~い!」という掛け合いが人気となり、本編はパート4まで、映画版やスペシャル版も制作された。
【PROFILE】
かんだうの
1975年、東京都生まれ。14歳でモデルとして事務所に所属し、19歳の頃から多くのバラエティ番組に出演するように。自身のブランドを立ち上げるなど多方面で活躍している。