演技経験ゼロで主人公の彼女役を熱演した濱田マリ 画像を見る

「モダンチョキチョキズのメインボーカルとして1992年から音楽活動をしていましたが、大所帯バンドだったので何かと大変で、1997年に活動休止に。このままではヤバいと、ちょうどその直前くらいから、『私はお芝居の仕事がしたいです』と関係者さんに大声で叫んでいたんです」

 

そう語るのは、濱田マリさん(55歳)。“モダチョキ”のプロモーションビデオ出演をきっかけに、お芝居に興味を持ったのだという。

 

「私の叫びが届いたのか、偶然のことなのか、モダチョキのライブに演出家の水田伸生さんが来てくださって、後日連絡をいただき、『今度、明石家さんまさん主演のドラマがあるのですが、出てくださいませんか?』とオファーをいただきました」

 

女優未経験だったが、手取り足取り教えてもらった。

 

「水田さんは、業界では“笑いながら怒る”“ピリピリしているときほど高笑いする”“怖い! 厳しい!”なんて思われていたみたいですが、とてもやさしくて。『マリちゃん、ここまで歩いて、そこで立ち止まって、プッと怒った表情をして』って、一つ一つ教えてくださいました。当時の自分に『バカ!?』と言いたいくらい、最初は何もできなかったんです(笑)」

 

現場の雰囲気を明るくしていたのは、さんまだった。

 

「事前にさんまさんと『僕がこう言うたら、こう返して。そしたら最後はこう落とすから』なんて軽く打ち合わせをして、あとはアドリブ。そのやりとりがすごく面白くて、撮影現場は笑いが絶えませんでした」

 

いちばん覚えているのは、さんま、鈴木杏樹高島礼子らが一堂に会した、シリアスなシーン。

 

「さんまさんが高島さんに対して『夜もふけてまいりました。お姉さんも老けてまいりました』って台本にないセリフを言うので(笑)。緊迫したシーンだったから、誰もが笑うのを我慢していました。高島さんの肩がプルプルと震えていたのを覚えています」

 

スペシャル版では、佐藤浩市をビンタするシーンに挑戦。

 

「本当に、本当に嫌で。でも、中途半端にやって何度もNGを出すくらいなら、1回で終わったほうがいいと思って、大先輩の左?を思い切りビンタしてしまいました。緊張のあまり、その後のことは覚えていません」

 

『恋のバカンス』で女優としてのキャリアが始まり、濱田さんの活躍の幅が広がったのだ。

 

『恋のバカンス』日本テレビ系・1997年)

恋の曲芸師こと黛勘九郎(明石家さんま)は、客室乗務員のちはる(濱田マリ)と小学校教諭の智子(奥貫薫)の2人と交際しているうえに、同僚の晶(鈴木樹)と婚約騒ぎまで……。モテモテのさんまが言い寄る女性をひたすらかわし続ける展開は痛快!

 

【PROFILE】

はまだ・まり

1968年生まれ、兵庫県出身。特徴のある声でテレビ番組のナレーターや女優として幅広く活躍。10月18日公開の堂本剛主演映画『まる』に出演。

 

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