「ドラマの初レギュラーは戦隊モノの『オーレンジャー』でした。生足のミニスカ姿で、ワイヤでぐるぐるにされてつるされるなど、アクションにも挑戦。出演者ばかりじゃなく、スタッフを含めて“みんなで作るドラマって楽しいな”と感じて、女優の仕事が増えていったんです。そんなときに出演したのが『お見合い結婚』でした」
こう振り返るのは、さとう珠緒さん(51)だ。当時は生放送の競馬番組やバラエティ番組などの仕事が立て込み「とにかく忙しい」というのが思い出だという。
「でも、主演の松たか子さんやユースケ・サンタマリアさんはさらに忙しく、朝から晩まで撮影現場にいました。ユースケさんはテレビの印象とはちょっと違って、すごくストイック。忙しいなかでも『毎日、走っている』と言っていました。でも、すごい寝癖をつけたままスタジオ入りすることがあって“あの寝癖、ちゃんと取れるのかな”と心配になったり(笑)。松さんとは、2人のシーンも多かったです」
あるとき、台本のセリフが終わったにもかかわらず、なかなかカットがかからないことがあった。
「困ってしまって、私がアドリブでつないだのですが、音声さんがカメラに映り込んでしまってNG。撮り直しのとき、松さんは『次は、何をやってくれるのかな?』って、次も私にアドリブをさせようと、プレッシャーを……。けっこう、おちゃめなところがあるんです」
撮影は年末年始をまたいでいた。
「歌手活動をしていた松さんは、音楽番組の出演も多かったです。撮影の合間に抜け出して、NHKで『紅白歌合戦』のリハーサルに参加していたこともありました」
多忙でも『ほかのアーティストを見られるから、楽しいところもある』と言っていたという。
「今井雅之さんや窪塚洋介さん、川原亜矢子さんら主要メンバー6名で、ランチを食べることも。撮影スタジオから歩いて5分くらいのところに、魚のおいしい定食屋さんがあったんです。だいたいユースケさんと今井さんがしゃべり担当みたいな感じで場を盛り上げてくれました」
その今井さんからは、1万円を手渡されて「(競馬の)有馬記念で増やして」と頼まれた。
「しっかり当てて増やしました。今井さんとは別の共演作があったのですが、あまりお礼を言われていないんですよ(笑)。天国で大好きなお酒を飲んでるかなと、時々思い出します」
『お見合い結婚』(フジテレビ系・’00年)
CAを寿退社したものの婚約者に逃げられ、酒、たばこ、パチンコに溺れる節子(松たか子)と、海外赴任を控えてお見合いに奔走する光太郎(ユースケ・サンタマリア)とのおしゃれなラブコメ。若き日の演技派俳優2人を堪能できる隠れた名作。
【PROFILE】
さとう・たまお
1973年生まれ、千葉県出身。1995年に特撮ヒーロー『超力戦隊オーレンジャー』で女優デビュー。その後、“ぶりっ子”キャラで人気を博し、情報番組の司会やバラエティ番組、ドラマと幅広く活躍。