_dsc5722_3  銀座書廊にて初の個展を開き、日比谷帝国ホテルでの祝賀会で初めての席上揮毫を行ったのは翔子さんが20歳のとき。そして、22歳では東京芸術劇場の創作バレエで千人の観客を前にし、5メートルの大壁紙に演目『まくべす』を、ほうきのような大筆を悠々と動かし書ききった。

上野の瑞輪寺においては、長さ7メートル40センチの『念彼観音力』を約50人の僧侶たちの前で粛々と披露してみせた。

ハラハラ見守る泰子さんの心配をよそに、どうやら本番にはめっぽう強いらしい翔子さんはいつも臆することなく堂々とやってのけるのだ。

そして、23歳となった翔子さんはこの3月6日、東京大田区にある雪谷文化センターで、8回目となる席上揮毫に挑んだ。

15分をかけ『龍翔鳳舞』が出来上がる。筆を置くと、翔子さんは床に深く頭を下げた。その瞬間、温かな拍手が広がる。書で結ばれた母と娘は同時に視線を合わせ、安堵の笑みをわずかに浮かべた。

「頑張りましたー。ありがとうございました」

翔子さんは、マイクが張り裂けんばかりの溌剌とした声でお礼をいう。

床に並んだ4枚の文字。

『龍』の先端からは見事な尾が飛び出し、『鳳』の字には、悠然とした羽がしっかりと生えている。

味わい深い作品がまた一つここに誕生し、母娘の固いパートナーシップがそこにあった。

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