「私は今回、離島、過疎地、東日本大震災の被災地などを回っていますが、この島原も大きな災害に遭ったところです。その3つに共通する点がひとつある。それはアベノミクスの実感がまだまだ届いていないことです。だからこそ、私が直接足を運んで、景気回復の実感が届くように政治に当たっていくというメッセージを、直接みなさんに伝えたかったんです」
遊説先の長崎県島原市役所前でこう語ったのは、自民党青年局長・小泉進次郎議員(32)。自民党の圧勝に終わった参院選。その応援演説のため、進次郎議員は全国を回り17日間で1道29県・90カ所を駆け抜けた。進次郎議員の全国遊説に密着し『小泉進次郎の戦う言葉』(文春新書)の著者でもあるジャーナリストの常井健一氏は、今回の地方遊説についてこう解説する。
「今回は進次郎議員自らの希望で全国の過疎地、離島での演説を続けました。演説内容も石川県の能登島では『のど自慢ならぬ能登島(のとじま)ですね』とダジャレで、集まったほとんどの女性を笑わせていました。その土地の方言と特産品の話をしてから、アベノミクスなど政治の話をするのがほとんどでしたね。小さな島ではその島に住む8〜9割の女性が集まりましたから、やはり人気は絶大です」
一見効率が悪い地方ばかりを遊説して回った進次郎議員。しかし、そこには彼の深謀遠慮があったという。
「今回の遊説を地方に絞ったのは将来を見越した思惑も感じられます。偉くなれば離島や過疎地を回ることは極めて困難になる。そうなる前に訪問しておきたかったのでしょう。『地方は裏切らない』は父・純一郎元首相の口癖でしたからね。地方でしっかりアピールしておけば、将来の総裁選のときに、地方票として生かされるかもしれない。そんな思いがあったのでしょう」(自民党関係者)
訪れた地方の聴衆を魅了した進次郎議員。今回の遊説は“未来の総理”へ向けた、第一歩だったのだろうかーー。