国会の衆院憲法審査会で専門家3人が集団的自衛権の行使を「違憲」と明言。こんな状況の中で、憲法改正をうたった自民党が4月に発行した改憲マンガ「ほのぼの一家の憲法改正ってなあに?」が話題を呼んでいる。「戦争ができる国にすること」に対する抵抗感をなくそうという意図が見え隠れする、このマンガ。そんな“危険シーン”に知識人がツッコむ!

 

【危険シーン1】「ケータイもネットもなかった時代の憲法で、今の時代についてこられるかしら」

このマンガは、2歳の息子を持つ主婦・ほのぼの優子(29歳)が、「日本は9条を変えて戦争のできる国になるのでは?」と心配し、夫の一郎(35歳)や義父の司郎(64歳)、祖父の千造(92歳)に向かい、「憲法改正の話が出てるって時にボケッとしちゃって!!」と食ってかかるシーンから始まる。改憲を危惧する優子に対し、義父・司郎が「憲法は70年前から変わっていない」と伝えた結果、見出しのように優子が言い放つ。

 

「憲法は、国の大きな方向性を示すもの。つまり、近代憲法の基本原則である国民主権や基本的人権の尊重、平和主義、三権分立といった要素が今の時代に合わない、というならば改正する必要があるが、そうでないなら変える必要はありません。まして日本国憲法は、近代ヨーロッパの憲法のよい部分ばかりを集めて作られた最新版ですよ!」(元外務省国際情報局長で、駐イラン大使などを務めた孫崎享さん)

 

【危険シーン2】「(憲法の日本語がわかりにくいのは)日本国憲法の基を作ったのがアメリカ人だからじゃよ!」

「憲法って変な日本語が多くない?とくに前文」と、問う優子に対し、祖父の千造が見出しのように叫ぶ。

 

「悪質な大ウソ!GHQ(連合国軍最高司令官総司令部)は、民間の日本人が研究していた憲法草案を参考にして現行の憲法を作ったんです。当時戦争でつらい思いをした国民は、この平和憲法を感動と感激で受け入れた。その思いを忘れちゃいけない」(「明日の自由を守る若手弁護士の会」のメンバーで弁護士の武井由起子さん)

 

【危険シーン3】「もし明日どっかの国が攻めてきたらどうするんじゃ?」

マンガの中盤では、祖父の千造が、「戦争を放棄さえすれば、戦争がないと思っとるのか?」と優子に詰め寄り、見出しのような質問をする。

 

「攻められてこないために自衛隊があるんです。このマンガには、自衛隊が自衛のために行う最小限度の実力行使も、『憲法では苦しい解釈だ』と描かれていますが、これは個別的自衛権として憲法でも認められています。自衛官は、自国民を守るためなら命を投げ出す覚悟があるが、安倍政権が進める、意味のない他国の戦争に巻き込まれて死ぬのはご免ですよ」(元自衛官で、集団的自衛権行使に大反対する泥憲和さん)

 

【危険シーン4】「徴兵される心配はない?」

作品中には、優子が「息子が徴兵にとられる可能性があるのでは……」と心配する様子が描かれている。

 

「マンガの中では、『奴隷的拘束・苦役からの自由が保障されているから徴兵制はあり得ない』と描かれていますが、経済的に苦しい家庭の若者を勧誘するなどして、実質的な徴兵制を行うことは可能」(泥憲和さん)

 

【危険シーン5】「GHQが与えた憲法のままでは、いつまで経っても日本は敗戦国」

マンガでは、「敗戦国」の象徴に憲法が使われているシーンも。

 

「安倍さんにとっては、憲法を改正して自衛隊を国防軍にし、戦争ができる国にすることが敗戦国からの脱却ですよ。安倍さんのような貴族は、戦争に行くリスクはない。行くのは、われわれ庶民でしょ」(泥憲和さん)

 

人任せにしているうちに、いつしか軍靴の音が聞こえてくる世になっているかもしれない。それから慌てても、もう遅いのだ。

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