生活保護に犯罪…”イメージ悪い”足立区に人口急増の理由

足立区がかつてのイメージを払拭しつつある。働きながら子育てしやすく、住みやすい町として知られるようになっているという。

「これだけいい区なのにイメージが悪いのはなぜ?区長さん頑張って!と学生さんたちから言われることもあります。確かに歴史的に生活保護率も高く、ひったくりなどの軽犯罪も多かった」

そう話す近藤やよい区長(53)は、警視庁留置管理課、税理士、都議会議員を経て’07年に現職に就き現在2期目を迎えている。自ら留置管理官をしていたころ、子を持つ先輩警察官が次々と退職したことから、働くお母さんが柔軟に生き方を選択できるようにと、保育所の拡大に力を入れた近藤区長。そのほか、1食で1日の栄養がとれる給食や、無料の塾など、日本初の取り組みも注目されている。だが、その取り組みは何も底上げだけではない。

「成績上位の中学生は『足立はばたき塾』でさらなる飛躍をめざさせ、もちろん自己負担はなし。教育格差を少しでも是正し、親から子への生活保護の連鎖を断ちたいのです。目玉政策はすべて、徹底したコストカットのなかで、外部委託を活用することと、職員の熱意で補っています」(近藤区長)

ひきこもり対策は、将来の生活保護費を削減するためにも力を入れており、体が健康な若者を職業訓練からサポート。’08年の就任以来778人が進路を決めた。また、いまや年間3万人以上が自ら命を絶つ時代。同区ではNPO法人ライフリンクと提携し、きめ細かなサポートで自殺者前年比マイナス30人という実績も打ち出した(’11年)。

こうした女性区長の取り組みを評価するのは明治大学理工学部教授の北野大さんだ。足立区で生まれ育った北野さんは下町の人情味あふれる気質を好み、現在も在住する。

「おせっかいなところも(足立区の)特徴です。区として信念をもって取り組んでいるゴミ屋敷の行政による撤去も賛同できますね。地域の人の輪があって、まだ残る田園風景などの自然に触れると、ここに生まれてつくづくよかったと思います。物価が安いのも住みやすい理由です」

一度住んだら区から出たがらない区民も多いという足立区。近藤区長は、新しい人口の流入にも力を入れており、そのための犯罪対策の運動も推進している。

 

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