「ネットのトラブルは安易な書き込みをきっかけに不特定多数から一斉に攻撃される(炎上)ケースがあります」(「全国Webカウンセリング協議会」の安川雅史理事長・以下同)
“ネット炎上”を避けるために覚えておきたい、最近の事例を安川さんに聞いた。
関東地方に住むある女子高生は、アルバイト先のカラオケボックスで、監視カメラに写ったみだらな行為をしていた男女の画像をツイッターで公開した。この書き込みに対して、「プライバシーの侵害だ」と批判が集中し、誹謗中傷する書き込みが殺到した。
「彼女にしてみれば、正義感から書き込んだことなのでしょうが、ネット上ではそうはいきませんでした。本人の予想に反してものすごくたたかれ、すぐに店名と高校が特定されてしまいました。犯人捜しはエスカレートして、顔写真と実名もさらされてしまいました。バイト先はクビになり、いまだに誹謗中傷が続き、ネット炎上はおさまっていません」
東京のある女子高生が、友人を誘ってプリクラを撮りに町に出た。その日はなんと’11年3月11日。東日本大震災が発生してから間もない時間だった。
会員制のサイトには、自分が友達と「Vサイン」のポーズを撮ったプリクラに「地震」と記して公開したうえに、激しい揺れで物が散乱した自宅にいた祖母に「汚いから片付けろよ」と命令したエピソードを書き込んだ。
すぐにネットは“炎上”し、女子高生の名前や学校が特定されてしまった。学校には「どういう教育をしてるんだ」といった苦情の電話が相次ぎ、高校からも処分を受けたうえ、ネット上にさまざまな個人情報が流出、精神的に追い込まれたという。
「会員制のサイトでも、パスワードを解読することが得意で、悪意のある人がネットの世界にはたくさんいます。子供たちは複数のSNSサイトを利用していて、一つ一つのサイトに載せている情報は少なくても、すべてのサイトの情報を集約されてさらされてしまうケースがあるのです」
昨年、夏の全国高校野球選手権大会で準優勝した高校の野球部員3人が、帰郷してから飲酒の事実をあけすけにブログに書いた。すぐにブログは削除されたが、非難の電話が殺到し学校側は記者会見を開いて陳謝した。
「ネットに対する危機感の意識が低いので、今の子供たちは何でもネットに書いてしまいます。いったん炎上したら住所や交友関係まで丸裸にされて、一生消えないことを知ってほしいです」