「今、振り返ると、受験ってとてもいいものだったなあと思うんですよ。よく勉強して、充実した1年間でした」

 

俳優の辰巳琢郎(55)は、懐かしむようにそう語る。大阪教育大学附属天王寺中学校・同大付属高校四天王寺校舎から、京都大学文学部に進学した。卒業後は俳優として活躍するだけでなく、インテリ芸能人の先駆けとしてクイズ番組にも出演し、人気者に。

 

「人生初の受験は中学受験。このときは直前の2週間に『力の5000題』(数学研究社)という問題集を4教科各1冊、つまり2万題を解いて試験に臨みました」

 

しかし、ふだんの生活の中でも知らずと学力を培っていたようだ。

 

「計算の速さは、トランプのおかげ。小学校の低学年のころから、毎年、お正月は家族で夜通しトランプをしていたんです。なかでも『ツー・テン・ジャック』という点取りゲームでは、徹底的に計算力を鍛えられましたね」

 

中学に入学してからは、中高一貫校だったこともあり、遊ぶことに熱中してしまったと笑う。芝居を始めたのも、高校のときだ。

 

「だけど、高校2年を終えたときに、『受験勉強突入宣言』をしました。先生や友達に宣言してしまえば、もう後戻りはできないと思ったんです。この作戦は効果的でした」

 

それから1年間は、勉強に邁進。通学時間、休み時間にも友達と競い合って、クイズ形式で必要なことを覚えたという。それも、前日にきちんと出題範囲を打ち合わせして、自分が覚えてきた中から出題するのだそう。時間ごとに出題相手の友達を替え、教科も替えるという徹底ぶり。

 

「ここで重要なのは、相手に負けたとしてもやめないこと。問題を作ることに意味があるんです。また、声に出すことで、脳への刺激が強くなり、確実に記憶できます」

 

ゲーム感覚で楽しみながらやることで、記憶量も増えるのだとか。

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