「1億総クレーマー社会」とまで呼ばれる現代。本誌は「あのクレーム騒動、正直どう思う?」というアンケートを実施した。対象は、全国に暮らす30・40・50代の女性各100人、計300人だ。

 

まずは、児童養護施設の子供たちを描いたドラマ『明日、ママがいない』(日本テレビ系)。芦田愛菜演じる主人公があだ名をつけられたり、施設長の子供への扱いがひどかったり……。そんな描写に対し「人権侵害に当たる」との申し立てが一部から寄せられた。その結果、ドラマのスポンサーはCM放送を自粛。当初は「最後まで内容を見て判断してほしい」としていた日本テレビ側も、脚本を変更して放送する事態となった騒動について。

 

結果は「最後まで内容を変更せずに放送し、作品全体で判断するべきだった」の意見が208人(69.3%)。対して「内容変更は正しい」は、92人(30.7%)。約7割の人が「変更せずに放送すべき」と考えていることが明らかになった。

 

1月に発生した「フォアグラ弁当」騒動。コンビニエンスストアが発売しようとした、フォアグラをのせたお弁当が、「(作り方が)残酷な食べ物だ」という指摘を受け、販売が中止になったというものだ。

 

アンケートでは、販売中止を「正しい」としたのは40人(13.3%)。「中止するようなことではない」と答えたのは260人(86.7%)と、中止否定派が圧倒的という結果に。報道によると、このとき寄せられたクレームは20件ほどだったという。

 

「実際に中止や変更になったという事実に比べて、アンケートの結果では、批判的意見は少数ですね」

 

結果を見てそう語るのは、精神科医の香山リカさん。クレームが大ごとになっていく社会背景には、クレーマーたちの“拡散志向”があると指摘する。

 

「実際にクレームをつけている人は多くありませんが、その人たちの声が大きくなるため、企業は対応を迫られることになります。本当は『どっちでもいい』というような意見であっても、ネットを使って拡散することで、自分が社会正義に加わることができた、というような満足感、達成感を抱いてしまうのでは、と思います」

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