「不倫はダメ!きっと不幸になる」と、普通、周囲の人間は言う。しかし、本誌は「後悔してない、今が幸せですから」と胸を張る女性の話を聞いた。以下は、篠塚倫子さん(63・税理士)の告白だ。

 

健康自慢だった同業者(税理士)の夫が突然、心筋梗塞で倒れてからというもの、毎日、家と病院と事務所を目まぐるしく渡り歩く日々。夫の病状は一進一退で元の生活に戻れる見込みはありませんでした。そんな中、病院で同じく奥さまが心筋梗塞で(ICUに担ぎ込まれて)闘病中という男性と出会ったのです。フロアも同じで、病気も同じ。しかも私は彼を少し知っていたのです。あるご研究が注目され、講演などもこなされる有名な方で、教養がありダンディといったらいいのでしょうか。

 

彼は奥様をとてもかいがいしく看護されていて、自分も「こんな優しい方と結婚できればよかった」という羨望の思いを抱いたものでした。彼も私に好意を抱いてくれているのはよくわかりました。言葉の端にそうしたニュアンスがあり、不謹慎にも妙に艶めいた気持ちになったことは確かでした。ですから、お互いの伴侶に敬意を持ちながらの交際となったのです。

 

2人ともお見舞いの帰りに、少し離れた駅で待ち合わせて食事をする、看護の疲れが吹き飛ぶようなひとときでした。ただ取り決めていたことは、お互いの伴侶が生きているうちに、肉体関係を持たないということ。でも彼には子供が3人おり、とくに長女から猛反対を受け、数カ月後に別れることになりました。彼の奥様も在宅に切り替え、強引に退院していきました。

 

結局夫は翌年に亡くなり、子供のいない私は仕事を続けながら一人暮らし。彼のことを忘れたことはなかったけれど、向こうはもう忘れていると思おうとしていました。そして2年後、彼から奥さまが亡くなったという連絡をもらいました。私たちは晴れて(と言ったら不謹慎ですが)62歳同士でやっと交際をスタートさせたのです。

 

正式に付き合いはじめてもちっとも欠点が見えず親密さは深まり、とうとう彼と一夜を過ごすことに。最初の夜はただ抱き合って眠るだけで満足でした。シルバーセックスっていうんでしょうか?でもこれでは、どうにも物足りない気持ちはお互いに同じだったのです。そのうち、「やはりちゃんとしたい」ということになり、彼は薬を処方してもらうことに。私も通販でジェルを購入したんです。実際に自分が使うことに違和感があったのですが、60代最初の性交渉はエキサイティングでした。

 

今では、夜になると10歳も若返るくらいの高揚した気持ちになります。入籍はせず事実婚ですが、還暦を超えて訪れた第2の人生、「先立った夫に申し訳ない」と思うくらい幸せです。

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