JR京都駅から5分ほどにある、もともとは東本願寺の門徒の宿坊だったという老舗旅館「藤家旅館」。この旅館に暮らすネコのリリー(メス・2)は、スリムな体型に灰色の毛並みが美しいロシアンブルーだ。

 

小さいときから旅館育ちのせいか、知らない人が相手でもまったく物おじしない性格のリリーは、いつしか「女将ネコ」として、宿を利用する人たちの人気者になっている。

 

「お客さんがやって来るころになると、玄関でお出迎え。機嫌がいいと、そのまま部屋まで、お客さんについていくこともあるんです。誰に抱っこされても平気だから、こちらも安心してお客さんに接してもらっています」

 

そう語るのは、女将の内藤弘子さん。お客さんがチェックインすると、リリーは部屋に様子をうかがいに現れるという。

 

「どんな人が来たか、どんな荷物を持ってきたか、興味があるんだと思いますが、その姿が、女将が部屋を挨拶に回っているように、お客さんには見えるみたいなんです」(内藤女将・以下同)

 

口コミやネットで広まり、いまや藤家旅館は「『女将ネコ』がいる宿」としてすっかり有名に。海外の旅行ガイドにも「ネコのいる和風旅館」として掲載され、ほとんどの宿泊客が、リリーを目当てに訪れるという。

 

「遠距離恋愛をしていたカップルが、2人ともネコ好きということで、うちに泊まりにいらしたんです。その日、男性はプロポーズをする決心をしていたんですが、緊張でなかなか切り出せない。そんなとき、リリーがフラリと部屋に入ってきたことで、彼の緊張が一瞬にして解け、うまく告白できたとか。2人で『リリーちゃんのおかげで結婚することになりました』と、挨拶にみえました(笑)」