12月20日に公開のディズニー映画『ベイマックス』。その脚本はストーリーチームと、ストーリートラストとよばれる作品を担当していない監督や脚本家たちで構成されるアドバイザーたちとが意見交換を重ね、2年ほどかかってようやく完成するという。

 

ディズニーのアニメーション製作において、ストーリーこそが王であり、もっとも大切にされるべき要素なのだという。その手順を教えてもらった。

 

【1】ビートボード

監督、脚本家、ヘッドオブストーリーらが会議室に3〜4カ月、毎日こもって話し合う。少年とロボットの話というコンセプトをもとに、テーマ、キャラクターなど大きな内容について討論し、出てきたアイデアをボードに貼り出していく。

 

【2】スクリプト

ビートボードをはがしたり、貼り直したりを繰り返し、納得いく構成ができたら、文章の脚本に。脚本家がライターズルームにこもり、10〜12週間で85ページの脚本にまとめる。

 

【3】テーブルリード

役者を雇い、脚本の読み合わせ。声の演技を確認することで、目立つキャラクターや機能していない要素などが見えてくるので、それをうけて再度脚本を書き直す。

 

【4】ストーリーボード

約30人のストーリーボードアーティストに場面を振り分け、パラパラマンガのような素描を描いていく。文章ではわからなかった面白さやつまらなさに気づくことができる大事な作業。

 

【5】エディトリアル

各ストーリーボードのやり直しを繰り返し、満足がいくものができたら、編集で1本につなぎ合わせ、仮のセリフ、音楽、音響効果などをつけた85分の作品に。

 

【6】スクリーニング

ここまで約1年ちょっと。ストーリーボードを編集した作品を上映し、社内の140人くらいの人が見て意見を言う。「第1回めのスクリーニングは10中8、9、ひどい結果に終わるもの。今回も……人生最悪の日でした」

 

【7】オフサイト

「スクリーニング後の意見交換で全体の90%がダメ、必要なのは10%とわかりました。あまりにも落ち込んだ私たち脚本家は、社内を離れて気分を変えます」。

 

【8】ストーリーボード&スクリーニング

再び、いつもの会議室でストーリーの再構築。3カ月ほどで次のスクリーニングがやってきて、また修正。それを4〜6回繰り返して、2年ほどでようやくストーリーが完成。「いくつものアイデアを試行錯誤して、いい方法を見極めようとしているんだから、どんどん失敗すべきとは、製作部門トップのジョン・ラセターがこの会社に持ち込んだ素晴らしい哲学です。あの『アナと雪の女王』だって、1回目のスクリーニングは本当に悲惨でしたよ(笑)」

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