12月20日公開のディズニー映画『ベイマックス』の舞台は、サンフランシスコと東京を混ぜたような、最先端の科学技術が集う都市サンフランソウキョウという街。そして、この街のイメージを描いたのが、イラストレーターの上杉忠弘さんだ。
「アメリカのアニメ業界では、なぜだか僕の名前が知られているみたいで……みんないきなり会いに来るんです。日本に来るときに連絡くれて、知らない人が『会いませんか?』って(笑)。そのフットワークの軽さはすごいと思いますね。話してみると、けっこういい年の方に『学生のときからファンでした』って言われたり。どうやら絵の学校で僕の作品が教材として使われているとか……全然、僕には連絡ないんですけど(笑)」
なかば強引にディズニーやピクサーの人とも交流が広がっていき、いつしか映画ビジュアルの仕事を頼まれるようになる。今作の依頼は’11年11月。監督たちが日本にリサーチ旅行に来た時だった。
「まったく面識のない方から、『来てるんですけど、会ってくれませんか?』って、また直接連絡がきて(笑)。サンフランシスコ大地震の後の復興作業で、日本人移民が活躍して立て直した街のイメージを描いてほしいと言われました」
そこで上杉さんは、ゴールデンゲートブリッジの主塔が全部鳥居になっていたり、フィッシャーマンズワーフに“えび道楽”があったり、ユニオンスクエアの女神像が芸者だったりという遊びゴコロいっぱいのイラストを制作。約1カ月の間に、7回にわけて、20枚ほど提出した。場所の設定以外、キャラクターもストーリーも何も決まっておらず自由に描いたものだという。
「風景だけじゃなくロボットも描いてくださいって言われても、どういうロボットかは全然決まってなかったんですね。だから勝手に昭和レトロ風に描いてます(笑)。ゴールデンゲートブリッジの絵は僕としてはかなり悪乗りをして描いたんですけど、完成したものをみたらそのまま使われていてびっくりしました」