「いま思い出しても涙が出ます。演出家からは『できなければやめてしまえばいい!』と突き放され、セリフを削られるのがつらく、悔しかったです。50歳からのスタートですから覚悟を決めて挑んだ女優業でしたが、泣きました」

 

そう語るのは、家族問題コンサルタントとして約3万件の相談に乗り、テレビのコメンテーターとしても活躍する池内ひろ美さん(53)。彼女は’11年、50歳で女優デビューを果たした。

 

初舞台『「日本の問題」経済とH組』では、震災で娘を亡くした母を熱演。最近は、短編映画『U.F.O〜Ushimado’s Fantastic Occurrence〜』の撮影を終えたばかり。舞台、映画と順調そうだが、新人女優としての道のりには、“先生”としての実績は通用せず。ゼロからのスタートだった。

 

「演技の素質のない私が女優になろうと思ったのは、私のクライアントはほとんど女性の方々。いつも『まずは“おかえりなさい”と素敵な笑顔で迎えてさしあげましょう。たとえ長年の悪感情があっても関係を改善できます。女性は生まれながらにみな女優ですから、できますよ』とアドバイスをしてきました。ところが私は実際女優をしたことはなかったので50歳を機に自分の言い続けてきたことを検証してみたかったのです」

 

池内さんの女優への向き合い方は生半可ではない。険しい世界を垣間見たから、いつオファーがあってもと、体力作りのため日に300回のスクワットを課す。

 

「50代で何かを始めるにはすごく傷つくことがあります。それでも新鮮な発見に満ちています。たとえば厳しい演出だったと思っても舞台が終わってDVDを冷静に見ると、ちゃんと一人ひとりの見せ場を作ってくださっていたことに驚き、感謝の気持ちがいっぱいあふれてきます。こうした経験ができるなら傷つくことも怖くはないのです」