「しつけ不要」「見返りを求めてOK」という“脱・常識”の子育てを提唱する、男装をやめた東大教授の安冨歩さん(51)。中国は儒教の教えを基に、自らの実体験をふまえて語られる方法論は、決して机上の空論ではない。安冨教授の子育て論、その4。

 

――正しい子育てのためには、親への憎しみを吐き出させ、召使のように子どもの言うことを聞くわけですね。親とはそこまでやらないといけないものなんですか?

 

「大半の方は年をとり、いつか寝たきりになるなどして子どもに世話をしてもらう日がやってきますよね。あなたが赤ちゃんのおしめを替えたように、年老いたあなたはいずれ子どもに下の世話をされるわけです。そんなことを子どもが喜んでやってくれるためには、どのくらい深く子どもに愛されないといけないかお考えください。それを考えれば、自分の世間体のために子どもを叱ることなんてとてもできないはず。わが子に喜んで下の世話をしてもらえる老後のためにも、とにかく今から徹底的に子どもを甘やかすしかないはずです。そんな“究極的な見返り”を求めながら、子育てはしたらいいんだと思います」

 

――読者にメッセージをお願いします。

 

「私は中国の儒教の教えが書かれた『論語』という本を研究しています。『論語』によると、生まれて3年間、無条件の愛を親から注がれて初めて、その子どもは親を愛する(『孝』と言います)ようになる、と書かれています。さらに、社会とは規則やルールによって秩序が生まれるのではなく、そうして育ったまっとうな人間の存在(『仁』)が、周囲に影響を与えて変えていくものだとも。“仁”の人、つまりその人がいるだけで周りの人たちが安心できるような真に強い人が存在すること、また、それぞれの人が持っている“仁”という側面が社会を安定させていくのだそうです」

 

――社会をよくするのは1人1人、と。

 

「ええ。だから子どもたちが抑圧なくまっとうに育つことがとても重要!親はただ、子どもがやりたいことを支援するだけでいいんです。心配して先回りするのではなく、必要なときに助ける。そうするだけでお互いの負担はすごく軽くなります。お母さんが変われば子どもも変わります。そして子どもが変わることで日本の未来が変わっていく。これからの日本の運命はお母さんにかかっているんですよ!」

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