今ある服は飽きちゃった。新しい服は欲しいけど、そんなにお金もかけられない−−。「だったら、誰かと服を交換すればいいんじゃない?」というコンセプトのもとに始まったイベントが、ファッションアイテムの物々交換会「xChange」。

 

物々交換なので、当然金銭のやり取りはなし。お金をかけずして、新しい服をゲットできてしまうのだ。xChange代表の丹羽順子さんは、イベントについて次のように話す。

 

「ふだん自分が着ないような服に気軽にチャレンジできるのも魅力の1つ。そして、お金のやり取りが介在しないぶん、参加者同士の距離が近い。初対面同士でも会話が盛り上がるんです」

 

物々交換ってどんなもの?と興味津々の本誌記者が、実際にxChangeに参加してみた。まずは、イベント前夜に出品する服選び。xChangeでは、出品する服1着ずつに、値札の代わりに「エピソードタグ」をつけるのが、ルールの1つ。持ち主の名前、そして服にまつわる思い出や着こなしのアドバイスなどを書き込んでいく。

 

「この服、なんで買ったんだっけ?あ〜一緒にいた友達に『似合う!』っておだてられて、勢いで買ったな」と、服を買った当時のことを思い出しながら書き込んでいると、ちょっとしんみりした気分に。なんだか、服とのお別れの儀式のようでもある。

 

翌朝、用意した服を手に、東京都青梅市で開催される「青梅ブンブンの会」主催の「物々交換会」へ。xChangeは、丹羽さんが’07年に初めて開催して以来、全国各地にその動きが広まり、地域の団体が自主開催するケースが増えている。この青梅市のイベントもその1つだ。

 

ワクワクと不安の入り交じる気持ちで会場に到着。まずは受付で、自分が持ち込んだ服の数を申告して、その後は、好きなところにディスプレー。すでに会場には、ジャケット、セーター、Tシャツ、帽子や靴など、想像以上に幅広い品がそろっている。サイズアウトしてしまったらしい子供服も多い。

 

記者も早速、好みの洋服探しを開始!記者が選んだのは、夫用のナイロンジャケット。よく考えたら、自分のクローゼットには山ほど服があるのに、夫のほうは不足気味。自分のモノを提供して、家族の服をゲット!という手もあるのだ。

 

さて、ジャケットのエピソードタグには、「万能ジャケットです!」のメッセージと、出品者の「やじー」という名前。探してみると会場にいました、やじーさん。しかも、記者が出品したカーディガンを手に持っている!「偶然ですね!!」と驚き合う2人。

 

「緑色が大好きで、ぱっと目に飛び込んできたんです」との言葉に記者もうれしくなって、つい服のPRを。服を手にハッピーな気分で打ち解けられるのは、「欲しい服が手に入ったから」だけでなく、自分の服が誰かの役に立ったのがうれしいからだ。

 

「xChangeは、お金ではなく、『善意』の交換なんです。だから、出品する服を選ぶときは、『いらないもの』ではなく、『誰かに着てほしいもの』を選んでほしい。そしてエピソードタグに、その思いを込めてほしいんです」(丹羽さん)

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