子供の連れ去りが’08年以来増加傾向だが、’14年は9年ぶりに100件を超えるなど、その勢いが止まらない。そのなかでも発生当初から注目を集めたのが、岐阜県郡上市高鷲町の「ひるがの高原キャンプ場」で忽然と姿を消してしまった下村まなみちゃん(当時10)失踪事件だ。

 

’09年の7月、「現代の神隠し!?」と報じられてから7月で5年が経過。事件・事故の両面から警察の捜索はいまも継続している。“事件”が起きたのは7月23日から2泊3日の課外活動の2日目。岐阜県奥美濃にある標高875メートルに位置する「ひるがの高原キャンプ場」を訪れたのは、愛知県常滑市・常滑西小学校5年生の児童85人。

 

朝の静けさの中、約1キロにわたる遊歩道を、児童たちはその日の夜に行われる肝だめしの下見でぞろぞろ歩いていた。まなみちゃんが、周囲の人の目から離れたのはわずか2〜3分の間のことだった。まばらな列の後方で見守っていた校長先生も直前に「頑張れ」「大丈夫か」とまなみちゃんに声をかけている。

 

「大好きな先生のところで休憩もせず、歩いていたそうです。つかず離れず歩いていたお友達がすぐ気が付いて『まなちゃんがいない……』って」(母親の益代さん・48)

 

左側は上りの急な森林の斜面。右側は幅1メートル程度、足首ほどの深さの小川が流れている。不審人物や車両の目撃もない。隠れるような物陰もない−−。発生当初、「どこかに空洞があるのでは?」と洞穴研究家に参加を要請。’12年にはキャンプ場近くの池の水を全て抜き、3年分の堆積した土を掘り起こすという大捜索も行われた。だが、いまだ何の手掛かりも見つかっていない。

 

「散策中だったので手ぶらでしたが、いまだに身に着けていた靴も何も見つかっていないことは本当に不思議です」(母親の益代さん)

 

このように、子供の失踪は、いったいどこに解決の糸口があるのか、皆目見当のつかない不可思議なケースもあるのだ。まなみちゃんは’15年1月3日で16歳の誕生日を迎えた。

 

「誰にも落ち度はないんです。なのに、娘がいないという現実だけが続いています。誰かがこの5年間育ててくれていて元気に大きくなっていればいいな、って思うんです。そうしたらもう誰を責めることもしません。そっと家に返してくれれば十分です」

 

そう語る益代さんは、被害者意識を持つことなく、前向きに2人の娘を育てながら生活をしている。そして、成長した娘たちと、助けてくれる仲間たちとともに、いまもまなみちゃんを捜し続ける。