ひと昔前なら、理数系の習い事といって思いつくのは、そろばん教室くらいだった。しかし「リケジョ」の活躍も目覚ましい現在、幼いうちから理系の考え方や、知識を身に付ける習い事に注目が集まっている。
そのなかのひとつ、東京都江東区にある「ヒューマンアカデミー キッズサイエンス ロボット教室」清澄白河教室が開講されたのは、’14年11月。教室長の田村久枝さんがネットで生徒の募集をかけると、すぐに申込み者が集まったという。
「その後は、あっという間に口コミで広がって、生徒数は現在、小学1〜6年生まで、計20人。今も問い合わせが絶えません」(田村さん)
教室は月に2回。ロボットクリエーターの高橋智隆さんが監修した専用キットを使い、月に1体のペースでロボットを組み立てていくカリキュラムだ。昆虫や恐竜をモデルにしたものが多く、子供たちの興味も引きやすいデザインになっている。
「月の授業の1回目は、マニュアルを見ながら、ギアやパーツを組み立てていきます。平面の図面を元にロボットを作り上げることで、立体感覚を養います。2回目の授業では、完成させたロボットに手を加え、もっと早く走らせたり、力を強くさせたりと、オリジナルの仕様に改造します。創造力や思考力が伸びる内容です」(田村さん)
でもやっぱり、算数や理科が苦手な子供には難しい?
「そんなことはありません。モノ作りとしても楽しんでもらえますから、もちろん、男女の区別も関係ありません。改造がうまくいったときの子供の達成感はすごいですよ。なかには、泣いて喜ぶ子もいるほどです」(田村さん)
「理系習い事」として人気を集めているのは、ロボット教室だけではない。科学実験を行う実験教室や、コンピュータのプログラミング教室に通う子供も増えている。
とくにプログラミングは、’12年度から中学校の「技術・家庭」の教科で「プログラムによる計測・制御」が必修となった。それを受け、習い事としての注目も高まっているそう。飲み込みの早い子供のうちに、プログラミングについての基礎知識を身に付けてしまおう、というわけだ。
さて、子供たちが理系習い事に熱中するのを、最前線で働く「リケジョ」はどう考えているのだろうか。宇宙飛行士として、’10年にスペースシャトル「ディスカバリー号」のミッションに参加した、山崎直子さんに感想を聞いた。
「自然科学を積極的に学ぶ機会があるのは、いいことだと思います。私自身が子供のころは、理系の習い事は身近になかったので、近所のプラネタリウムに通ったり、学校の理科の実験に参加したりするのを楽しみにしていました。もしそのころ、今のような習い事があったら、ぜひ通ってみたかったですね」(山崎さん)