3月8日に逝去された塩月弥栄子さん(享年96)。その著書『冠婚葬祭入門』シリーズは、’70年に初版が刊行され、合計で700万部を超える大ベストセラーに。昭和の時代の「しきたりやお作法のバイブル」は、平成のいまもなお、確実に私たちの「?」に答えてくれる。そのエッセンスを抽出して、お届けしたい。

 

《応接》とは?

応接、つまり人との対応は、冠、婚、葬、祭いずれの場合にも関わってくることです。人間関係をよくも悪くもするのは、いつにも人との対応だと思います。

 

【1】休日の訪問は遠慮したほうがよい

招待されたとき以外の休日の訪問は、遠慮する心づかいがほしいものです。

 

【2】客は主人が現れるまでは下座で待つ

日本間では床の間が上座、応接間にマントルピース(暖炉の装飾)がある場合はその前が上座です。そうしたもののないお宅は、奥まったところが上座、出入口に近いところが下座と心得ておけばいいでしょう。

 

【3】訪問は惜しまれながら引き揚げる

訪問でいちばん難しいのが、引き揚げどきです。話がひとくぎりついたところで、タイミングよく引き揚げます。

 

【4】菓子やくだものの手土産は、くださった客といっしょにいただく

手土産をいただいたら、さっそくあけて素直に喜びを表します。いつまでも部屋の隅に放り出しておくのは、客の好意を無視した失礼な態度です。

 

【5】訪問客に家族を紹介すること

客間に家族の者が顔を出したときは、必ず軽く「家内です」とか「娘です」とか紹介するのが礼儀です。

 

【6】お辞儀には、真・行・草の3段階がある

正しいお辞儀は、すわったまま、両手がひざの前に下がるのに平行して、上半身を頭と一緒に静かに下げます。最敬礼が「真」、敬礼が「行」、会釈が「草」のお辞儀です。

 

【7】目上に「ごくろうさま」とは言わない

「御苦労」とは、目下の労をねぎらう言葉です。「ありがとうございます」とか「おつかれさまでございます」のほうが、はるかに感じのよい言葉だと思います。

 

【8】紹介は目下を目上に、男性を女性に引き合わせる

紹介のときは、年長者と女性が上位になります。したがって異性間では男子を婦人に紹介し、同性間では下位の人を上位へ、後輩を先輩へ、未婚者を既婚者へ、年少者を年長者へ紹介します。

 

【9】列車の席は窓側が上席である

新幹線のように1列に3つの席がある場合は、窓側が上席、通路側が次席、中央が末席となります。

 

【10】オーナー・ドライバーの車では助手席が上席である

オーナー・ドライバーの車の上席は、助手席、後ろの席のいちばん奥、出入口に近い席の順番です。後ろが3人がけの場合は、後ろの真ん中がいちばんの末席になります。