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第二次世界大戦の終結から70年という、大きな節目を迎えた’15年。そこで、本誌は戦後70年に見たい作品を、著名人に薦めていただきました。

 

「『鬼龍院花子の生涯』のヒロイン・松恵(夏目雅子)は、親に売られ、極道の養女となって成長します。『私は、生まれながら本当に不幸や。なんでこんな環境で育ってきたんやろう……』と。普通ならグレるけど、松恵はまともに生きて、大人になっていく。この映画は『人生、ちょっとやそっとじゃ腐ったらアカンな』と思わせてくれる作品です。自分の過去を恨んでばっかりでは、結局、未来も切り開いていけない。松恵の生き方から学ぶことは多いですね」

 

これまで、この作品を6回見た、という友近さん(41)。そして今回はもう1本、推薦したい作品として『そこのみにて光り輝く』を挙げてくれた。生きる目的を失った達夫(綾野剛)と、悲惨な家庭環境に生きる千夏(池脇千鶴)の、過酷でやるせない愛の物語だ。

 

「不幸な内容なんですけど、ものすごくリアリティがあるんです。演技のうまさだけでなく、呉美保監督が、ディテールにまでこだわって作られた、すばらしい作品ですね。人生をあきらめかけている2人が出会い、そしてお互いの過去をさらけ出しながら、深く愛し合う。覚悟を決めた人間ってやっぱり強いな〜と、心に響く映画です」

 

戦後70年というテーマで、彼女がこの2つの作品を選んだ理由は「つらいのは自分だけじゃない。ほんの些細な幸せがあるだけで、生きていくエネルギーになる」と強く感じたからだ。戦後、平和国家を歩み続けてきた日本だが、自殺やいじめは後を絶たない。さらに社会の格差がどんどん広がり、住みにくい国へと変貌しつつある。友近さんは「そろそろ“嫌われる勇気”も大事な時代なのかも」と言う。

 

「自分は自分、他人は他人。ある程度の協調性は必要ですけど、他人の目ばかり気にしていると、自分を見失う。そして自分のやりたいことまでも見失っていきます。今、自分は何をしたいのか。好き嫌いをはっきり言えるような人が増えれば、日本はもっと平和になると思いますけどね」

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