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福島県郡山市の「ビッグパレットふくしま」の仮設住宅には、避難指示が解除されて4年たった現在でも、川内村の旧・緊急時避難準備区域の住民、113戸・228人が暮らしている。うち約70%が60代以上の高齢者。しかもこの仮設も、’17年3月で打ち切りが決定した。

 

この仮設で夫と暮らす久保田稔子さん(80)は、こう話す。

 

「戻れるなら戻りたいよ。でも、そう簡単ではないの。4年半も家を離れているから、修理せんと住めんけど、業者が混み合っていて、なかなか修理の順番が回ってこんし。それに、うちに戻ったら店も病院も遠くなる。お父さんも私も車の運転はできないし、若い者は、もう戻らんから」

 

もともと川内村には、大きな病院や商業施設などはなかったため、原発事故前は隣接する富岡町や大熊町まで出向いていた。しかし現在、富岡町も大熊町も避難指示が継続されており、すべては閉鎖。解除のメドも立っていない。

 

川内村には、やっと診療所ができたが診察科目も日替わりで、年配者には心もとない。実際に、川内村の遠藤雄幸村長は、村内で手当てを受けられず、ドクターヘリで救急搬送されたことがある。記者の問い合わせに、川内村の職員が答えてくれた。

 

「震災後、そういう事実はありました。ハチに刺されたか、魚のアレルギーだったかは忘れましたけど……」

 

自らも川内村で被災し、今もこの仮設に住みながら、生活に困窮するお年寄りを支援すべくNPO法人を設立した志田篤さん(67)は言う。

 

「川内村でも、国の復興予算を使って企業誘致をしたり、老人ホームやコンビニ、温水プールをつくったりして、人を呼び戻そうとしています。それは結構なことですが」

 

ここにきて原発事故特有の問題にぶつかっているという。それは……。

 

「地域コミュニティの崩壊です。若い世代は、低線量被ばくの影響を心配して避難先から戻りません。となると、企業を誘致しても働き手が確保できないし、地域の消防活動を担う人材がいない。また、高齢者だけの生活になることで、いざというときに面倒を見る人がいない、など問題は深刻です。国は安全だと言いますが“低線量被ばく”は前例がない。仮設を打ち切るから、村に帰れと言われてもむずかしい」

 

安倍政権はいまでも、原発再稼動を進めている。また事故が起きたら、同じように棄民が出るだろう。“犠牲の連鎖”を早く止めなくてはならない。