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4月2日、堺市の液晶工場で、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業によるシャープ買収の契約が調印された。

 

当初、総額4890億円とされた買収額は、契約直前にシャープが巨額の「偶発債務」(将来の債務リスク)を伝えたことで、3888億円まで値切られた。

 

ホンハイの郭台銘会長が「シャープの100年超の歴史、技術革新のリーダーとして果たしてきた役割を尊敬する」と笑顔で会見した後方に、一人の女性がいた。ホンハイの金庫番、社員からは「銭ママ」と呼ばれている黄秋蓮だ。

 

「黄秋蓮は40年来の古参幹部の1人で、2005年に死去した郭氏の前妻の叔母にあたります。町工場時代からの金庫番で、夫の游象富とともに、会社にとって最重要の夫婦です。

 

ホンハイが30年ぐらい前、すごく苦しくなったとき、夫婦の親族がお金を貸して危機を乗り越えたこともあったらしい。

 

それで、いまでは、夫婦合わせると郭台銘に次ぐ第2位の個人株主になっています」

 

こう話すのは、郭氏に20時間以上インタビューしているTMR台北科技の大槻智洋氏。

 

黄秋蓮は大方針に口を出すことはないが、いざお金を使うときに、細かい調整をしたり、価格交渉で一度差し戻したりと、細かい実務を担当しているのだという。

 

産経新聞北京総局の矢板明夫氏もこう話す。

 

「黄秋連は郭会長から絶大な信頼を得ており、彼女がグループで使うカネを、1元単位まで全部管理していると言われます。ホンハイは企業買収をやったり、子会社に出資したりで、お金の流れが複雑です。それをすべて把握しているのは彼女だけだという話です」

 

郭台銘がOKした出費が、黄秋連に拒否されて、プロジェクトが中止になったこともあるという。

 

この「銭ママ」こそが、快進撃を続けるホンハイの秘密なのだ。

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