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岡本まいさん(39)は、8年前から、ジャマイカの首都・キングストンを拠点に活動している。主な仕事は日本とジャマイカの音楽業界の橋渡し。日本のアーティストがジャマイカでレコーディングをしたいと思ったら、彼女に一声かければいい。豊富な人脈を生かし、瞬く間にミュージシャンだろうがスタジオだろうが押さえてくれる。その逆に、ジャマイカのアーティストの日本でのライブツアーを組むことも。

 

日に焼けた浅黒い肌、太い腰、編み込みのヘアスタイル……エキゾチックな容姿そのままに、いまや岡本さんはジャマイカと日本の音楽シーンをつなぐ“ビッグママ”となった。でも、ほんの10年ほど前まで彼女は、日本の雑誌業界で“別の顔”で際立つ存在感を放っていた。

 

’90年代のグラビアブームを牽引した芸能事務所「イエローキャブ」。ここで岡本さんは、辣腕マネージャーとして鳴らした。小池栄子、佐藤江梨子、MEGUMI……当時、同事務所に所属し、岡本さんが担当して売れっ子になったタレントは数多い。岡本さんはカメラマンやスタッフから「オカマイ」と呼ばれ、親しまれた。「グラビア業界でオカマイを知らない人はモグリ」、と言われたこともあった。

 

「この国って貧乏だけど餓死がないんですよ」

 

ジャマイカの自宅でのインタビューで、岡本さんはこう繰り返した。

 

「だってお金がなくても、そこらに生えてるマンゴー、もいで食べてればいいんだから」(岡本さん・以下同)

 

岡本さんの家の中庭にも、立派なマンゴーの木があった。

 

「この国は、な〜んにもないからこそ、何でも作り出す。たとえば薬も。あるとき、頭が痛くてジャマイカ人の友人・マイキーに電話したら、葉っぱがいっぱいついた小枝を持ってきて。『この葉をお茶にして飲むの?』って聞いたら『ノー、ノー』って、その小枝を私の鼻の穴に突っ込んだのよ。『何すんだ!?』と思ったけど、なんか枝の成分がじわじわ鼻の粘膜から効いてきて。マジで頭痛が飛んだんだよね(笑)」

 

こんな思い出もある。それは海辺の田舎町を旅したときのこと。浜にいた子どもに持っていたジュースを分けてあげた。するとその子が岡本さんに「おなかすいてない?お礼に魚、ごちそうするよ」と話しかけてきた。

 

どう見ても貧しく、食事をおごるお金なんて持ってるわけない、どうする気だろう。そう思い見ていると……。その子は浜に打ち上げられた魚の死骸で、ゴカイを集め生け捕りに。そのゴカイを餌に、捨てられてた釣り糸を使って、ペットボトルを浮きにして見事、魚を釣ってみせた。

 

「火をおこし、そこらに生えてるネギとかと一緒に捕れたての魚の煮物を作ってくれた。日本ならスーパーでいろんな高級魚も手に入るけど、こっちのが超新鮮で超ぜいたく。もちろん超おいしかった」

 

岡本さんの家は、高級住宅街の一角。それでも断水は日常茶飯事で、ときには2週間水が止まることも。

 

「日本だと雨は、『お靴が汚れる』『超やだ』とか、私も言ってた。でも、こっちで暮らしてると、雨が降るだけでうれしいの。ジャマイカはちょっとしたことが幸せな国なのね。いまじゃ『わ、水だ、NICE RAIN!』って気持ちになれる」

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