「全国の空き家は約820万戸あり、空き家率は13.5%にのぼります(’13年・総務省)。’33年には2,000万戸を超え、空き家率は30.2%になる予測もあり、切迫した問題です(’15年・野村総合研究所)。こうした状況受け、空き家対策を強化する自治体が増えています」
こう語るのは、経済ジャーナリストの荻原博子さん。深刻な空き家問題。そんな中、地方の自治体では、状態のよい空き家を有効活用するために、空き家情報を公開する「空き家バンク」を運営するなど、さまざまな空き家対策に動いている。荻原さんが解説してくれた。
「愛媛県北宇和郡鬼北町では、空き家バンクの登録物件を買った方に、住宅の改修費用の3分の2を補助金として支給します。ただし、県外からの移住者で50歳未満の方がいる世帯限定で、補助金上限は200万円。中学以下の子どもや孫がいれば、補助金上限は400万円に跳ね上がります」
地方の自治体は空き家問題だけでなく、人口減少、少子化なども食い止めたいのだと荻原さんは言う。
「三重県鳥羽市は市外からの転入者で41歳以上60歳以下の方がいる世帯なら、改修費用を上限100万円まで支給します。こちらも、世帯に40歳以下の方がいれば、補助金上限は200万円に拡大。若者世帯を優遇しています」
空き家を買う人だけでなく、借りる人への補助金を手厚くする自治体もある。
「三重県四日市市では、18歳未満の子育て世帯が空き家を借りる場合、最大月3万円を、最長3年間支給します。子育て世帯を優遇する自治体が多いなか、神奈川県横須賀市は下宿したい学生を支援します。大学生などが2人以上で空き家にシェア居住する場合、敷金・礼金などの初期費用を最大15万円補助します」
また、空き家の所有者にメリットのある施策も。
「山形県飽海郡遊佐町の『借上げ空き家リフォーム制度』は、町が空き家を10年間借り上げ、町の予算、上限350万円でリフォームし、移住者に貸し出します。空き家の所有者には、資金負担がありません」