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「あったらいいな」の発想を形にして、’16年を彩った「女心に大ヒット」した商品の数々。そんな商品を仕掛けた女性たちが開発秘話を語ってくれました!

 

■ロッテ「SWEETS DAYS 乳酸菌ショコラ」

 

乳酸菌といえば、これまではヨーグルトや健康食品のタブレットなどでとるイメージが強かった。だが、「乳酸菌ショコラ」はその常識を覆すコンセプトで登場。チョコレートで乳酸菌が摂取できるのだ。’15年10月の発売直後から売り上げは好調で、約半年間でシリーズ合計1,000万個、約1年間で2,500万個が販売された。だが販売にいたるまでには、クリアしなければならない課題も多かったという。

 

「チョコレートで乳酸菌をとる必要があるのか?自分でも納得できる理由が欲しかったんです」と語るのは、株式会社ロッテ・マーケティング統括部第二商品企画部・新商品企画室室長の犬飼美穂子さん(40)。

 

まず消費者調査を行ったところ、現状の乳酸菌商品について、「賞味期限が短い」「冷蔵保存が必要」などの理由で満足しきっていない消費者も多いことが判明したのだ。チョコレートにすれば手軽に持ち運びができるし、保存も利く。そうしたメリットを生かすため、個包装にするなど、パッケージに工夫を凝らしたという。

 

商品名が先に決まった後、デザイン検討が進むというケースも多いが、今回は商品名検討とパッケージのデザインは同時進行となった。

 

「いくつもの仮の商品名で、何十パターンというパッケージの試作品を作りました。社内で模擬の商品棚を作り、ほかの商品と並べて見栄えがするかどうかを確認しました」(犬飼さん)

 

商品名はわかりやすく、後続商品が出ても元祖と思ってもらえるよう“乳酸菌”という言葉をストレートに使用し、「乳酸菌ショコラ」に決定。パッケージデザインには、健康、高級、おいしそうの三点を意識したという。1箱300円前後と、やや高めの価格設定だったが、約半年で出荷額20億円を突破。その知らせを聞いたとき、犬飼さんは「信じられないほどうれしかった」という。

 

■森永製菓「甘酒」

 

「実は(缶の)『甘酒』自体は42年前からあった商品なんです」と語るのは、森永製菓株式会社マーケティング本部・菓子食品マーケティング部の田仲結子さん(29)。パッケージは発売当時から変更もなく、味もほとんど変えていないという。

 

「弊社の甘酒には米麹と酒かすの両方が入っています。その年のお米や日本酒の出来具合によって、米麹や酒かすの甘味や風味が微妙に変わってきますので、それを調整して、いつも一定の味にすることが必要ですが、なかなか大変なのです」(田仲さん)

 

だが’10年度には約3,000万本だった販売数が、’16年度は倍以上の約7,200本の販売見込みに!その背景には、夏でも甘酒の販売促進に力を入れてきたことがあるという。

 

「甘酒って夏の季語なんです。江戸時代は庶民が滋養強壮のために、夏に冷やした甘酒を飲んでいたのですね。そこで’00年に『冷やし甘酒』を北海道限定で販売し、’12年から全国展開になりました」(犬飼さん)

 

“冬の飲み物”から“一年中楽しめる飲み物”になった甘酒。さらに「目の下のクマが改善できる」「腸内環境を整える」「免疫力がアップする」といった、女性にうれしい研究結果が次々と発表されたことも後押しとなり、若い世代にも、どんどんファンが増えていったのだ。

 

また、独特の風味に慣れていない人たちにも親しんでもらいために、田仲さんが思いついたのが“ちょい足し”というスタイルだ。牛乳と甘酒、ヨーグルトと甘酒、りんごジュースと甘酒など、冷蔵庫に常備してあるような手軽な食品とのコンビネーションを紹介することにしたのだ。ちなみに田仲さんのいちばんのオススメは「ココアと甘酒」だ。

 

森永製菓の甘酒は、缶入り以外にも、粉タイプ、フリーズドライタイプなど、種類豊富に発売されている。田仲さんの数々のアイデアはパッケージに印刷されており、ちょい足し以外にも鍋、みそ汁、シュガートーストなど、甘酒を利用したレシピもあるという。’17年春には新しいフレーバーの甘酒を期間限定販売する予定もあり、今後の展開も見逃せない。

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