’16年4月の電力自由化に続き、4月1日から都市ガス自由化がスタートした。一口にガスと言っても、一般家庭で使うガスには「都市ガス」と、「プロパンガス(LPガス)」、そして70戸以上の団地などの敷地に置くガス発生設備から供給する「簡易ガス」の3種類がある。
今回のガス自由化で対象になるのは、都市ガスを使っている家庭だ。都市ガスは、輸入した原料のLNG(液化天然ガス)を陸揚げ後に、気化、臭化などの工程を経て、導管を通して各家庭に供給される。
「首都圏の“台風の目”は東京電力です」と話すのは、光熱費の比較サイトを運営する「エネチェンジ」副社長の巻口守男さん。7月には東京電力ホールディングス傘下の電力小売り会社「東電エナジーパートナー」(東電EP)が都市ガス自由化に参入。4月中にも料金が発表されるという。
「いわば“後出しジャンケン”ですから、かなりの割引になるのではないかと注目を集めているのです」(巻口さん・以下同)
その東電を迎え撃つ東京ガス(東ガス)は、すでに超割安プランを発表し、そしてプロパンガス大手の「ニチガス」も参入している。
「電力自由化のときに、ニチガスと東電は連携し、ニチガスはプロパンガスと東電の電気をセットで販売しました。今度もニチガスと東電の2社で連携し、都市ガスを販売するわけです。両社で’19年までに100万件の顧客獲得を目指すというので、価格やサービスの競争は激化するでしょう」
つまり東電・ニチガスvs.東ガスで、シェア獲得にしのぎを削るということに。
気になる料金を見てみよう。エネチェンジの計算によると、3〜4人世帯(1年間の電気使用量は5,033kWh、ガス使用量は506立方米と想定)で、ニチガスの「プレミアム5+」と東電のスタンダードプランのセット割にすると、現行料金が1年間で21万8,025円(電気14万円5,497円、ガス7万2,528円)のところ、6,000円安い21万2,025円に。
これに対して、東ガスの「ずっとも電気」と「ずっともガス」のプランを合わせると、年間19万4,764円。差額は2万3,261円と、ガス自由化に参入する会社の新プランのなかでも断トツに安い。
「電気料金は、最初の120kWhまで第1段階、300kWhまでが第2段階、それを超えると第3段階と分かれています。第1段階の料金は東電のほうが安く、第2段階以降は東ガスのほうが安い。つまり現時点では電気をたくさん使う家庭は、東ガスのほうが安くなる料金設定になっていたのです」
さらに東ガスは、電気料金1,000円につきパッチョポイントが15ポイント、ガス料金1,000円につき15ポイントたまるサービスを実施。たまったポイントは電気代やガス代の支払いには使えないが、T-POINTなどの共通ポイントやグッズなどに交換できる。また料理レシピサイト「クックパッド」の有料メニューが一部無料で利用できたり、ガス機器のトラブルに対して無料で対応してくれたりするサービスも。
これからプランを公表する東電EP。ガスと電気のセット割だけでなく、サービスをどれだけ充実させてくるかも注目だ。