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「ガスの小売りが自由化されたと言ってもピンとこない人も多いと思います。私どもも『自由化で何が変わるの?』という声をよく聞いています。ガスの自由化とは、一言でいうと各家庭で使っているガスの会社を自由に選べるようになることです。契約先や料金プランをうまく選べば、一般的な家庭でも年1~2万円程度、節約することが可能になります」

 

こう話すのは、光熱費の比較サイトを運営する「エネチェンジ」副社長の巻口守男さん。’16年4月の電力自由化に続き、4月1日から都市ガス自由化がスタートした。一口にガスと言っても、一般家庭で使うガスには「都市ガス」と、「プロパンガス(LPガス)」、そして70戸以上の団地などの敷地に置くガス発生設備から供給する「簡易ガス」の3種類がある。

 

今回のガス自由化で対象になるのは、都市ガスを使っている家庭だ。都市ガスは、輸入した原料のLNG(液化天然ガス)を陸揚げ後に、気化、臭化などの工程を経て、導管を通して各家庭に供給される。これまでは導管の管理から各家庭にガスを供給するまで一連の業務を、東京ガス、大阪ガス、西部ガスなど、それぞれの地域の都市ガス会社が担ってきた。

 

「しかし自由化後は、ガス管の管理運営は都市ガス会社の導管部門が引き続き行いますが、ガス販売について新たな会社が参画できるようになります」(巻口さん・以下同)

 

3月末日現在、家庭用ガスの供給に参入表明している会社が、全国でも13社と少ないのは、販売するためのハードルが高いためだという。1つは、輸入した原料のLNGを陸揚げした後に貯蔵するための設備が必要なこと。当面は、既存の大手都市ガス会社の設備を借りて、急場をしのぐ会社もあるという。

 

「東京電力や関西電力などの大手電力会社が参入しますが、それらの会社がなぜガスを販売できるのかというと、火力発電をするためのLNGを輸入しているからです。その輸入量は大手ガス会社をも上回るといわれており、それを都市ガスに転用するのです。特に関西電力は自前の燃料調整設備も持っているため、ガスの販売に積極的に取り組んでいます。いっぽう東京電力は燃料調整設備の建設を検討中で、完成するまでは東京ガスの施設を借りるそうです」

 

ハードルのもう1つは、緊急時にかけつける保安員を確保しなければならないこと。都市ガス会社の営業所は、ガス漏れがあったときなどに備え、30分以内に現場にかけつけられるように各地に展開している。新規参入する場合も、地域ごとに営業所を構えなければならず、プロパンガス販売店と提携することにした会社もあるという。

 

電力自由化では通信会社や自然エネルギーを発電する会社など約380社が参入したが、それに比べて参入社が極端に少ないのは、ガス特有の事情があるためなのだ。現時点では価格競争も、ほぼ既存の都市ガス会社と大手電力会社との一騎打ち状態にある。そのため選択できるプランも多くはないが、巻口さんは次のように語る。

 

「2社を比較するだけなので、かえってわかりやすくなりました。電力自由化の際、『電気・ガスのセット割』を設定した会社もたくさんありましたが、電気代だけが値引きされて、ガス代は値引きされませんでした。しかし今回のガス自由化によりガス代も安くなります。セット割にすれば、かなり割引率も高くなるのです」

 

はたしてあなたの住んでいる地域で、電力会社とガス会社の“セット割”を選択すると、どれだけ光熱費を削減できるのか?検討してみてはいかが。

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