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「ダバイザー!!」。福島県郡山市の柴宮幼稚園。司会役のお兄さんとお姉さんから「みんなで一緒に呼んでみよう」と促され、園児たちが一斉に大声をあげた。その声に応え登場したのは、真っ赤なスーツがまぶしいご当地ヒーロー。園児たちの声援を背に舞台に駆け上がる。お約束でしゃべれないヒーローに代わって、司会のお姉さんが“自己紹介”。

 

「みんな、初めまして。誕生したばかりの郡山のヒーロー、ダバイザーです。なんでダバイザーか? よく、おじいちゃんやおばあちゃんが『暑かったばい?』『疲っちゃばい?』って言うでしょう。郡山弁の『~だばい(でしょう)』から、名付けられました」

 

その後、ダバイザーは体操のお兄さんや園児たちと、できたばかりの「ダバイザー体操」で約15分間、汗を流した。

 

「ちびっ子たち、喜んで一緒にやってくれましたね。いや、よかったよかった」

 

こう語るのはダバイザーの“生みの親”で市内の小学校教諭・大塚久さん(54)。若いころ、プロのマンガ家を目指したこともある大塚さんは、東日本大震災が発生した’11年以来、マンガで福島の人々を癒し、勇気づけてきた。ダバイザーも大塚さんが今年3月に出版したマンガから生まれたヒーローだ。

 

「この春、卒業した6年生は、あの原発事故の直後に入学した子たち。体育館が使えず狭い図書館で入学式をして、猛暑のなか窓も開けずに授業を受け、外遊びも運動会も制限されて。そんな彼らの卒業のはなむけに描きました」(大塚さん・以下同)

 

マンガは実際に大塚さんが体験したエピソードを下敷きに描かれている。子どもたちが大切に育てた学校の記念樹が、除染作業で伐採されそうになって怪物化。彼らの危機を救うのが、主人公の教師が変身するダバイザーだ。そして、園児の前でダバイザーを熱演していたのも大塚さんなのだ。

 

震災後、私生活の危機=離婚を経験しても、大塚さんはくじけなかった。福島の子どもたちのため、修羅場を乗り越え、50代の肉体に鞭打って、ダバイザーに見事、変身したのだ。体操後、爽やかヒーローから、汗だくオッサンに戻ったところを改めて直撃。

 

「いや~、マスクが息苦しい。夏場は熱中症がヤバイ。でも、子どもたちのため頑張ります。ヒーローを務めるための体力作り?しないしない。もう少しスリムな若い人、探します(笑)」

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