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「なんでママに隠れてこんなことするの!」。一人娘の女子大生・カホコ(高畑充希)がこっそり買ったワンピースを見つけ、娘にそれを突き付けながら叫ぶママ(黒木瞳)。ドラマ『過保護のカホコ』(日本テレビ系)では、こんな“過保護”シーンが話題になっている。

 

「私も年々“過保護”な親が増えていると感じています。『カホコ』を見ながら、知り合いの母娘や自身と重ね合わせて『いるいる』『うちもそうだ』と、感じている方もいるのではないでしょうか」

 

そう話すのは、『「親力」で決まる!』などの著書で知られる教育評論家の親野智可等さん。また、教育問題にくわしいジャーナリストの石川結貴さんも、こう続ける。

 

「ママの黒木瞳が自分の人生をわが子に投影して、コントロールしようとしているところがリアル。現実にもドラマ以上に子どもをがんじがらめに縛っている親もたくさん存在します」

 

えっ、ドラマ以上の“過保護”? 驚くべき“バカ保護”の実態を親野さんや石川さんに寄せられた実例で、紹介していこう。まず、ドラマにも登場する定番の手作り弁当。カホコの弁当は、同級生役の竹内涼真が「マジ、大学4年にもなって、毎日ママにこんな弁当作ってもらってんの?」と驚くほど豪華なものだった。だが、それを上回る母親も……。

 

■毎日会社へお弁当を運ぶ母

 

「カホコはうちの先輩とそっくり。広告代理店で私より2つ年上の先輩(30歳・女性)なんですけど、入社以来、約7年間、毎日、母親が手作り弁当を会社まで届けにくるんです。先日、先輩が外出中に私が受け取ったんですが、小ぎれいなお母さんが会社のロビーに現れて『お弁当箱って荷物になるし、満員電車に乗るのに、持っていくのは大変でしょう。それに温かいものを食べさせてやりたいから』と。この前、先輩がママに作ってもらった弁当を自分で作ったと偽って彼氏に渡したら、野菜の煮物が入っていて、『おまえ、料理の趣味渋いな』と言われたとか」(東京都・OL・28歳)

 

こうした親の“サポート型”過保護の例は数知れない。つぎは“子ども管理型”。

 

■娘のLINEに勝手に返信する母

 

「私の友人に20歳のお嬢さんがいるのですが、先日、電話でこんなことを言ってました。『娘が無造作に置いて寝てしまったスマホを見たらLINEのメッセージが届いてて。最近、返信が遅いだけで仲間外れになったり、いじめの対象になったりするって聞くでしょ。娘の代わりに返信しておいたわ』。うちの娘だったら『勝手になにすんのよ』とケンカになることは間違いなし。パスワードはお嬢さんから聞いたのでしょうが……」(埼玉県・主婦・50歳)

 

ほかにも耳を疑うようなエピソードも。

 

■娘をコネ入社させ、残業させた上司を叱る女社長

 

「私の勤めるアパレル企業の女性社長。娘が就職氷河期でどこも入社できなかったからと、自分の会社に入社させた。就業時間近くになると、毎日内線がかかってくる。帰社時間を合わせて一緒にご飯を食べられるようにしているらしい。一度、娘が残業で帰れないことがあったとき、彼女の部署の上司が呼ばれて『部下の仕事配分がきちんとできてない』と社長から怒鳴られた。私たちも残業続きなんですけど、いい気なものです」(群馬県・アパレル勤務・30歳)

 

こうした“過保護母娘”が目立つ背景を、前出・石川さんはこう見ている。

 

「人生に夢中になるものが見つけられなかった女性は、自分の人生をわが子、特に同性である娘に投影しがちなんです。しかも愛情と一緒くたになっているため、わが子の世話が行きすぎていることへの自覚がない。それが、過保護が蔓延してしまった大きな理由でしょう」

 

また親野さんは、次のように語る。

 

「私の基準では『サポート型』は過保護として許せる範囲。洋服を自由に選ばせないなど、子どもの自立心を奪う『管理型』こそやってはいけないものです。『過保護のカホコ』は見ているうちに許される過保護と許されない過保護がわかってくる絶妙な展開です。いかに自分が子どもたちの自立を邪魔しているのかがわからない親は、ぜひ見てもらいたい」

 

ドラマの“親”見て、わがふり直せ、といえそうだ。

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