今年、登場したヒット商品の多くが、「あったらいいな」となんとなく考えている夢を形にしてくれたものだった。いまあるものを「あったらいいな」に進化させて大ヒットしたモノを紹介しよう。

2月中旬に発売された「レノアハピネスアロマジュエル」シリーズ(P&G)は、日本初の衣料の「香りづけ専用」商品だ。ビーズ状の「ジュエル」を洗剤と一緒に洗濯機に直接入れて使用する。これまで衣料に香りをつけるのは柔軟剤がメインだったが、その概念を大きく変えて発売直後から大ヒット。一時は出荷停止になったほどだ。同社レノアブランドマネージャーの川畑麻美さんは言う。

「もっと長続きする香りが欲しい、毎日、違う香りが欲しい……そんなニーズに気づいたのがきっかけです。でも柔軟剤はほかの成分も入っているので、多くは入れられない、という声も聞きました。そこで社内を見渡したところ、この商品に出会ったんです。日本のお客さま向けのアイデアが詰まっています」

4月24日に発売された「キリン メッツコーラ」(キリンビバレッジ)は、特定保健用食品(特保)史上初のコーラ系飲料という意外性が大きな反響を呼び、生産が追いつかないほどの人気だ。’12年11月上旬時点で、早くも1億2000万本を突破。半年間で年間目標の5倍を記録した。

「特保で商品を作るプロジェクトができたのは’07年。1年くらいかけて、コーラ以外の炭酸や紅茶、コーヒーなども含め、研究を重ねました。結局、特保といちばんミスマッチで面白いと思ったコーラで開発を進めることに決定。完成までに数百種類のコーラを飲んだと思います(笑)」(同社マーケティング部・商品担当、光星晴信さん)

”あらゆる臭いをわずか30秒で消臭、100回洗濯してもその力は落ちない”という、セーレンの消臭アンダーウェア「DEOEST」シリーズから今年4月、リニューアル発売された女性用ショーツは、月に1000~2000枚という驚異的な売れ行きを示している。

その他、今年の大ヒット商品は、まったく新しい歯間洗浄器具「フィリップス ソニッケアー エアーフロス」や、軽っぽくない軽自動車、ホンダの「NBOX」、目のスチームと温感ヒーターを備えた美容家電、パナソニックの「目もとエステ」など、あったものを「進化」させた商品が並んだといえるだろう。

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