「自民党の圧勝で全体的な景気回復の流れはよりいっそう進むことが予想されます。日銀の黒田総裁が就任して以来のいわゆるアベノミクス効果で、現時点でもさまざまな景気動向指数も上向きになっています。今回の選挙の結果、衆参のねじれが解消し、その方向性はより強力になります」

 

そう話すのは経済アナリストの森永卓郎さん。安倍首相が掲げる経済政策はアベノミクスと呼ばれる。これはデフレを脱却するために年2%のインフレを目標とし、所得の増加、物価の上昇で景気を回復させようとするもの。アベノミクスで景気がよくなったといわれている日本経済。しかし、衆院選の自民党圧勝で“負担増の波”が、これから私たちの家計に押し寄せてくるという。そのひとつが変動金利の住宅ローンを組んでいる家庭には痛手となる、金利の上昇だ。

 

「安倍政権としては、金利が上昇することで国民の住宅購買力が冷え込み、景気が後退すれば元も子もありませんから、次の手を打ってくるでしょう。そのひとつが、打ち切り予定のローン減税の継続です。さらに親からの不動産贈与に関して、一定の猶予も与えられるでしょう。経済は安倍政権にとって生命線と言えますからね。一気に景気が冷え込んだり、落ち込んだりすることだけは、どんなことがあっても避けなければならない、というのが政府のスタンスです」(政治評論家・有馬晴海さん)

 

さらに、現役世代が支払う年金保険料は’17年まで、毎年上がることがすでに決まっている。そして、最大の負担が予想されるのが’14年4月から8%に、’15年10月から10%に税率が引き上げられる消費税の増税。そこで、夫が40代サラリーマンで妻は専業主婦、小学生の子供が2人いる年収500万円家庭においての負担増の年間金額を試算してみた。

 

2年後の消費増税と、安倍政権が目指す年2%のインフレの影響で年間30万円の負担増。円安や原材料費の価格高騰など、インフレ率を超える物の値上がりでさらに負担が年間10万円増える。また、住宅ローン金利の上昇や子育てにかかる給付の削減、社会保障費が増え、さらに年間25万円の負担が重なり、その合計は、何と年間65万円にも上る。この負担増に見合うだけの給料の上昇は、期待できるのだろうか。経済部記者は次のように語る。

 

「安倍政権は給与所得者の賃金アップも公約に掲げています。しかし、この年間65万円の負担増をカバーするには、毎年約3%ずつの賃金アップが4年間必要です。そのためには、いま以上に株価高や好景気を維持し続けて、企業も業績を上げ続けなければならない。ほぼ不可能と言えるでしょう」

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