いま、消費税を増税できないと、日本が国際的な信用を失い、国債は暴落すると、経済評論家で参議院議員の藤巻健史さんは危機感を募らせる。

 

「国債が暴落して、金利が跳ね上がると、支出の約半分を借金でまかなっている国は、金利の支払いだけで首が回らなくなります。こうなるとあらゆる支出が困難となり、また新たな借金もできなくなります。役所、警察、消防、ごみ収集など私たちの身の回りに関する行政が止まってしまう可能性がありますし、年金や健康保険も維持できなくなります」

 

第一生命経済研究所エコノミストの藤代宏一さんは、消費税増税を延期した場合、国際社会から信用を失った日本経済への影響をこう解説する。

 

「増税を先送りすれば、海外からの“日本売り”が加速して、中期的には日本の財政悪化懸念から1ドル=150円近くまで円安が進むと思われます。150円となると、輸入品やエネルギー高騰など生活者にとっての悪影響が大きく目立ち始めます」

 

消費税を上げないと円が暴落。家計への負担は重くなる。それでも、増税したほうが将来的には日本経済へのメリットがあると、藤代さんは主張する。

 

「短期的に見れば、消費税を増税すると当然家庭の負担は増えますが、中長期的には消費税を上げないことによる家計への悪影響と相殺、またはプラスに働くと思います。’97年に5%に上げたときに大きな景気後退が起こったので増税に反対する意見もあります。しかし、このときはアジア通貨危機や山一證券破綻に見られたような金融不安がありました。現在はそのような状況ではありません。いま、消費税を上げられないデメリットのほうが大きいと思います」

 

前出の藤巻議員も、増税のデメリットはきちんと認識していると強調する。

 

「消費税を上げれば、確かに景気の面ではマイナスの圧力がかかります。しかも、日本の財政状況を考えれば、5%から10%の増収増は雀の涙にしかなりません。しかし、『今日よければそれでいい』と目の前の財政危機に対応しないのはまったくの無責任です。ひとつ言えることは、確実に財政は悪化しているということです」

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